
みなさんは、ペットの猫がガブガブ水を飲んでいるのを見たことがありますか?
犬が勢いよく水を飲むのに対し、猫が水を飲むときはチロチロと少し口をつけるような感じで、少量の水しか飲んでいないように見えます。猫はあまり水を飲まなくても大丈夫なのでしょうか?
今回は、猫と水との関係をお話します。
猫の祖先の話
猫の祖先であるリビアヤマネコは砂漠に住んでいたために、砂漠で貴重な水をたくさん摂取しなくても良いように体が進化を遂げました。
砂漠では体内から排出される水分が多いと脱水症状になり、命を落としかねない生活で、猫は尿を腎臓で凝縮し少しでも体内から排出される水分を減らすようになったのです。そのため、猫は、多くの水分を必要としないでも生きていける体になったと言えます。でも、あまりに水分を取らない時や、逆にガブガブと水分を取っている時は病気を疑わなければいけません!
猫が1日に必要な水分
猫が1日に必要とする水分量の目安は、体重4㎏の猫で約200ml、体重が1㎏増すごとに50mlずつ増やした量となります。
この水分量をエサと飲み水とで摂取するのが理想的です。フード別の水分含有量は種類によって多少誤差はありますが、ドライフードが約10%、ウェットフードは約75%です。小さめな缶詰のウェットフードで85g入りのものなら、水分量は約60ml。体重4㎏の猫ならウェットフードで約60mlの水分を摂取できたら、あとは飲み水で140mlを摂取することが理想的と言えます。
この目安の水分量よりも大幅に少ない量しか摂取できていないと思われる場合は、一度正確に測ってみることをおすすめします。便利な目盛りつきの水飲みもありますので、お使いになってみるのも良いでしょう。
水分が関係する猫の病気
猫は、水分摂取量が少ないことで病気になってしまいます。それは、猫の宿命ともされるオシッコが関係する病気です。
- 尿石症
水分が少なく濃度が高い尿が習慣化すると膀胱内に尿石ができ、膀胱や尿道を傷つけるので血尿や排尿時に痛みがあります。
- 膀胱炎
尿石症を放置すると膀胱炎になってしまう危険も高いです。血尿と排尿時に明らかに苦しそうな状態になり、悪化するとお腹を撫でるだけで痛がることもあります。
- 慢性腎不全
猫がかかりやすい病気です。食欲や元気の低下にはじまり、嘔吐や下痢などの症状がでます。発見が遅れると死に至ることも多いので、定期的な健診をするのも必要です。
逆に、水分の摂取量が急に増えた場合にも病気の可能性があります。
- 腎臓病
一番に疑われる病気です。腎臓病の初期から中期に尿の量が増えることがあり、体内の水分が多く奪われるため、喉が渇くので水をたくさん飲むようになります。15歳を超えた猫の約3割は何らかの腎臓病を患うと言われますので、いつもと様子が違うと感じたらすぐに検査を受けることがおすすめです。
- 糖尿
人間の場合によく似ていて、原因は食べ過ぎや運動不足、肥満とバランスの悪い食事も考えられます。猫は10歳前後から要注意です。
- 子宮蓄膿症
避妊前のメス猫がかかる病気です。この病気の初期症状は水をたくさん飲み、尿の量が増えます。症状が進んでくると嘔吐や下痢をともない元気がなくなってきます。子宮蓄膿症は子宮頸管が開いている「開放型」と閉じている「閉鎖型」があります。
開放型では、子宮内に溜まった膿が外に漏れ出てくるので病気に気づくことができます。一方で、閉鎖型は膿が外に漏れないので気づきにくく、手遅れになってしまうケースも時々見られるのが現状です。子宮蓄膿症を防ぐには、避妊手術をするのが一番の予防方法となりますので、子どもをつくる予定が無ければ避妊手術を考えてあげましょう。
このように、猫の水分補給には、病気のシグナルが隠れている場合が多いので十分に気をつけてあげてください。