
趾間膿皮症(しかんのうひしょう)とは、犬の足指の間の箇所に起こる皮膚トラブルの事です。
この部分は、被毛もなく、皮膚も薄くとてもデリケートです。
その為毎日の散歩、アレルギー、加齢など様々なことが原因となり、皮膚トラブルが起こりやすい箇所です。
ただ日々の散歩ではなかなか目が行き届かないこともあり、完全に予防することが難しい問題でもあります。
多くみられるケースは
- 散歩中に草の種や木の破片などのトゲが刺さってしまった
- 散歩時などに小石やガラスの破片を踏んでしまった
- アレルギー
- 除草剤など化学薬品による皮膚トラブル
- 細菌感染
- 亜鉛欠乏症
などがあげられます。
散歩中に負った小さな怪我を犬が不快に思い、舐める、噛むなどの行動を繰り返すことで、患部の皮膚がふやけ、細菌やばい菌が感染し次の問題を引き起こすこともあります。
食物性のアレルギーがある場合、その症状は全身至る場所に発症します。
特に趾間、腹部、耳など被毛がなく、皮膚が露出している部位は症状が悪化しやすく、犬が噛む、舐めるなどで悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。
このような原因がある場合、症状は四肢すべてで起こることもあり、犬には不便さと相当なストレスが生じます。
単なる怪我とは違う趾間膿皮症
趾間膿皮症を発症すると、足先に痛みが走り、日々の生活にも支障をきたします。
初期症状は小さな傷、湿疹に似た程度ですが、細菌の感染や愛犬が舐めることで症状は悪化します。
次第に患部が広範囲に広がり、別の症状も現れ、人間の症状では水虫やとびひに似た症状になります。
患部は治りかけていても不快感、かゆみを伴うので、目を離したすきに犬が噛む、舐めるを繰り返してしまうのです。
患部を何度も舐めていると、次第にあかぎれのようになり、微量の出血を伴う事があります。
出血の際の痛み、臭いに刺激され、自力で完治させようと犬がさらに舐めるという悪循環に陥ります。
特に長毛種の犬種の場合、舐めることで足裏全体の被毛が湿り気を帯び、足裏全体が常に湿った状態になることで通気性が悪くなり、雑菌の繁殖も進みます。
このような悪循環は、犬の治癒力だけではカバーできず、早期に医療の力を借りることが必要です。
- 足裏をしきりに舐める、噛む
- 足裏をかばうように歩く
- 足に触れられることを嫌がる
- 足が腫れている
- 出血がある
などの症状を見せる場合は早期に動物病院を受診しましょう。
特に腫れや赤みがある場合は体内に雑菌が侵入してしまっている危険性があるので早期の受診が必要です。
また明確な診断、治療法が見つかり、犬が足裏を気にする素振りがなくなるまでは、
- 無暗に患部に触れない
- 市販薬や市販製品を使用しない
- トリミングや自宅でのシャンプーを控える
ことが大切です。
発症してしまった場合のホームケア
趾間膿皮症を完治させるには、動物病院で抗生剤の処方を受け、治療をすることが得策です。
薬剤は一般的に飲み薬が処方されます。ドッグフードやおやつに混ぜ与えましょう。
飲み薬が苦手な場合は、少量のバターやチューブ式のおやつなどに練り混ぜ犬の上顎に塗るように与えるとスムーズに服用させることが出来ます。
趾間膿皮症を患っている間の外出は、患部にサポーターやペット用包帯、靴下などを着用させ、保護してあげましょう。
慣れない感触に犬が拒絶する場合は、長時間の散歩をさけ、トイレだけを済ませる程度で終えてしまっても問題はありません。
包帯やテーピングなどはこまめに交換し、常に患部は清潔に保ってあげましょう。
散歩からの帰宅の都度、足を洗う習慣がある場合も完治するまでは水洗いは避け、乾いたタオルで足裏を軽くふく程度に済ませてあげましょう。
趾間膿皮症をたびたび繰り返す場合、体の他の部位にも脂漏症や外耳炎などの皮膚トラブルがみられる場合は、一過性の怪我ではなく日々の食事における脂肪分の過剰摂取が原因になっている場合もあります。
症状が長引く場合は、食事の見直し、脂肪分の少ない食事への切り替えを検討してあげることも必要です。
犬にとって自身の足でしっかりと立ち上がり、歩行ができることは何よりの健康の支えになります。
足に不調があるときは早期に動物病院を受診し、原因を突き止め、適切な治療を施してあげましょう。