
犬のアレルギーと聞くと牛や豚、トウモロコシなどの食材を思い浮かべますが、実は犬にも人間同様に金属アレルギーがあります。
症例数はごくわずかですが、この症状は日常的に金属との摂取を避けることが対処法となります。
犬のアレルギーは食事だけが原因ではありません
アレルギーと聞くとドッグフード、添加物を真っ先に思い浮かべ、低アレルギー製品、高品質なドッグフードなどを購入し、愛犬の症状改善に努めるでしょう。
でもなかなか症状が改善しないアレルギー、原因が特定できない血液検査に次第に家族も悩みが大きくなり、犬の症状も悪化する一方という事もあります。
実は犬のアレルギーは食材だけに原因が限りません。
症例数は少ないものの、
- 金属
- ノミ
- ダニ
- 除草剤
- 花粉
などに体が反応し発症するケースもあります。
これらの症状は、発症する季節が限られていたり、発症が体の一部分だけにとどまることも多く、なかなか原因の特定が難しいとされています。
その為、治療方法も原因が不特定なままで、ステロイドでかゆみだけを強制的抑えるなどの対処療法が用いられがちです。
原因不明なままで薬剤を多用したり、長期間服用を続けるという方法は犬の内臓機能に悪影響をもたらし、いつまでも先の見えない手探りの状態を招きます。
治療には飼い主からの意見や提案、日常生活の気づきもとても大切です。
食材以外の可能性が或ることをきちんと把握しておきましょう。
犬の食器がトリガーだった例
- 犬の口、鼻の周り(まずる)にだけ脱毛、湿疹、かぶれの症状がみられる
- 首、肩甲骨のあたりにだけ皮膚トラブルが目立つ
という場合には、その原因が金属にあることもあります。
ステンレス製食器を使用している、首輪やハーネスの留め具に金属が使用されている場合などにみられる症状です。
金属と日常的に接触する部位はアレルギーによる拒絶反応が起き、被毛が抜け、皮膚が黒ずみます。
もちろんかゆみもあり、犬が頻繁に掻きむしることもあるでしょう。
ただ症状が体の一部分に限られる場合が多い上に、食事に気を使っている場合、金属がその原因になっているとは考えつかないことが多いものです。
金属アレルギーの特徴は金属が触れた部分に顕著に症状が現れることです。
そのため食欲もあり、元気で便の状態もよいので、一過性の怪我や体質と軽くみられてしまう事もあります。
この症状は人間の金属アレルギーととてもよく似ていて、ピアスや指輪、ネックレスなど皮膚に直接触れた部位にだけかゆみやあかみが起き、皮膚から遠ざけると次第に症状が治まります。
犬の場合も同様ですが、食器や首輪など日常的な接触を繰り返すことで症状が緩和されずに、脱毛などの悪化を見せます。
犬のアレルギー、かゆみ、脱毛がなかなか改善しない場合には、患部に触れる素材、製品など思い当たる物をまず挙げてみましょう。
血液検査の項目に含まれていないことも
犬のアレルギー発症率が上がる中で、アレルギーの発症、軽減のために動物病院で血液検査を手軽に受けることが出来ます。
この検査では犬から微量の血液を採取し、様々な物質との反応を調べ、一定の数値を越えた物質はアレルギー発症リスクが高いと分類され、今後の生活からの除去を指導されます。
ただし実はこの検査は犬が一般的にアレルギーを起こす可能性のある物質をあらかじめ指定し、血液との反応を確認する検査です。
つまり検査結果に表示されていない物質はすべて安心という意味ではなく、場合によっては最初から検査項目に含まれていなかったという可能性もあるのです。
食器や首輪に使用される金属はアレルギー発症率が低いこと、金属の種類が多様なことから検査項目にあらかじめ含まれていない場合もあります。
そのため顕著な症状が発症してからその原因究明のために指定されることもあります。
同じ犬種での発症事例が報告されている場合、親兄弟犬に金属アレルギーと思われる症状がみられる場合は、血液検査を受ける際にその旨を事前に申し出て、検査項目に追加をしておくと安心です。
症状の改善には時間がかかります
アレルギーの原因が判明し、生活環境を改善した場合でも、犬の症状が目に見えるほどに改善されるまでには、数週間、数か月と長い期間がかかります。その為、中には
- 対処法が間違っているのではないか?
- 薬が体に合わないのではないか?
- サプリメントの量や種類を増やしたほうがいいのではないか?
と様々な方法で試行錯誤さえる方もいます。
でも皮膚は体のもっとも外側に位置する機能ですから、症状、体質の改善には、まず体内機能が正常化され、そのうえで皮膚、被毛にまで効果がみられるようになります。
特に一旦刺激やかゆみ、脱毛で傷ついてしまった皮膚は改善するまでに相当な時間がかかります。
壊れてしまった皮膚組織を回復することはとても大変なことだからです。
犬の症状緩和、ストレスの軽減には、安易に様々な方法を入れ替わり、立ち代わり利用するのではなく、信頼のおける獣医師、薬剤、製品を活用し長い目で取り組んであげることも大切です。
方法を切り替えるタイミングは症状の悪化がみられた時と考えておくとよいでしょう。