
ナノレベルの微細な泡で皮膚の表面、毛穴の奥まで洗浄可能な装置があると聞くと、つい犬に使ってあげたいと思うでしょう。
このナノバブル、マイクロバブルを使用した洗浄はお手入れ効果が高い反面、中には正しく活用できていない、体質に合わない犬もいます。
お手入れの仕組みと正しい活用法を知り、犬の皮膚、被毛のケアをしてあげましょう。
ミクロの泡を使用した毛穴洗浄の仕組み
マイクロバブル、ナノバブルとは一般的なシャワーヘッドから放出される水滴よりもさらに小さく、目には白い煙のようにも見えるほど小さな泡の事です。
これまでトリミングや家庭の浴室で使用されてきたシャワーヘッドは、放出される水滴1粒1粒のサイズが犬の毛穴よりも大きく、どんなに勢いよく放水をしても、犬の皮膚表面を洗い流すにすぎませんでした。
そのためどんなに念入りに、頻繁にシャワーをしても、すぐに体臭が気になるようになる、被毛のべたつきが気になるという声が尽きませんでした。
でも人間のエステ、美容界での流行をきっかけにペット業界にもマイクロバブル、ナノバブル発生装置が発売され、この機器を導入するトリミングショップや治療の一環に取り入れる動物病院が増えたことで瞬く間に話題になり、今では標準的な設備、サービスとしている店舗も少なくありません。
マイクロバブル、ナノバブルは発生される水滴1粒1粒が犬の毛穴よりも数倍小さいので、洗浄の際に、自然と毛穴の奥まで水流が行き届きます。
その結果、毛穴の奥にたまった汚れ、皮脂を洗い流すことが出来、被毛の隅々まで水流がいきわたり、丁寧にブラッシングをしたかのような手触りに仕上がります。
この機器を使用することで、体臭の発生が気にならなくなり、犬の手触りが格段に良くなったなどの声も多々あります。
日ごろ、なかなか手洗いだけでは解消できなかった目に見えないレベルでの汚れを簡単に一掃することが出来、今では家庭用に簡単に取り付けができる製品も多数販売されています。
お手入れが逆効果になることも
マイクロバブルやナノバブルを活用した毛穴洗浄の方法は、重度のアトピーや皮膚トラブルの治療にも効果があると多くの動物病院でも導入されています。
中には使用後数か月でどれだけの改善がみられたのかを画像で紹介しているケースもあります。
このような症例を目にすると、マイクロバブルをぜひ犬に体験させたい、家庭で機器を購入したいという方もいるでしょう。
ただここで間違えてはいけないことは、機器はあくまでも正しく使うことが前提であり、正しく使わないとかえって犬の皮膚の状態を悪化させてしまう可能性があることを知っておくことです。
マイクロバブルやナノバブルは毛穴の奥まで水がいきわたり、全てのものを洗い流してくれます。
でも犬は人間の赤ちゃんよりも皮膚が薄く、皮脂の量は少なく、被毛で全身を覆うことでバランスを保っています。
その皮膚の毛穴は本来野生で生活している場合、雨水が直接届くことのない部位です。
しかしその部位に人工的に水を流しいれ洗浄するのですから、当然本来あるべき、皮膚に残るべき皮脂も洗い流してしまっていることになります。
毛穴をバケツに見立てて考えてみましょう。
- バケツが皮脂で満タンになっている状態が健康な状態です。
- ドッグフードやおやつで過剰な油脂を摂取すればバケツから過剰な皮脂があふれだし、脂漏症を発祥します。
- アレルギーの場合には、バケツの中に本来あるべきでない成分が混入しています。
毛穴洗浄をするということは、皮脂がたまっているべきバケツがマイクロバブルやナノバブル洗浄をすることで一旦完全に空になる状態です。
空にしたバケツはアレルギー原因となる物質や過剰に摂取した皮脂、体臭の原因となる汚れもリセットされますから、新たにバケツに流入する皮脂は清潔な状態になります。
このため、洗浄効果が高く、洗い上がりの仕上がり、臭いも軽減されます。
でも、人口的に空になったバケツが本来の量まで皮脂をためるまでには相当な時間がかかります。
中には薬浴、皮膚疾患の治療にと毎日マイクロバブル、ナノバブルを使用する方、使用を勧められた方もいるでしょう。
でも毎日バケツを空にしてしまっては、犬の生理現象だけでは皮脂を貯めるサイクルが追いつきません。
犬のためを思ってのケアがかえって犬の皮膚に負担をかけて、治療を長引かせてしまうのです。
本末転倒なケアですね。だから、正しい使い方と、使った後のケアが重要なのです。
乾燥肌、敏感肌には正しいお手入れを
動物病院の皮膚治療や薬用効果、温泉効果のある製品の宣伝などで目にするマイクロバブルやナノバブルの効果、効能は決して間違いではありません。
ただ1点、誤解されがちなことは、上記のバケツが空になったタイミングで有効成分を毛穴レベルで補給してあげているからこそ効果があるということです。
空になったバケツに皮膚、被毛の状態改善効果のある成分を補給してあげることで、空のバケツには、余計な汚れや皮脂がないのでスムーズに成分がたまる上に、毛穴を通じて皮膚に浸透しやすくなること、バケツが満タンになる手助けになること、この点がとても大切なことです。
家庭で毛穴レベルの洗浄をする際は、単に洗うだけでなくその後の水分補給、成分補給も併せて考えてあげましょう。