
犬にも敏感肌という体質があり、特にトリミングで使用するバリカンの影響を受け、皮膚が赤くただれてしまうことがあります。このようなデリケートな皮膚は生まれ持っての体質であり、繰り返し刺激を与える事で皮膚の黒ずみや湿疹を招く事があるので注意が必要です。
意外に多いシュナウザーの首回りトラブル
トリミングで使用するバリカンの影響で皮膚にうっすらと血が滲んでしまうことやつぶつぶと小さな赤い斑点ができる事があります。
この症状はデリケートな皮膚が刺激を受ける事で突発的に発症します。
いわゆる「バリカン負け」という症状で、人間の「剃刀負け」によく似た症状です。
このような症状が見られる犬種の代表各はシュナウザーです。
シュナウザーといえば本来は体の被毛を指でつまみ引き抜くトリミング技法が正当な犬種ですから、トリミングに使用するバリカンに負けてしまう程のデリケートな肌質を持っているとはなかなか想像できないものでしょう。
シュナウザーがバリカン負けを起こす部位は大抵の場合顎下から首にかけてのラインです。
この部分は通常バリカンで地肌に近い状態にまで短く切り揃えます。この時皮膚が刺激を受け、様々なトラブルが起こります。
実はシュナウザーは生まれ持って皮膚が頑丈で刺激に強いわけではありません。
生後間もない時期から毎日、数日おきに少量ずつ体の被毛を指でつまみ引き抜く事をくり返し、皮膚に刺激を与え、皮膚を鍛える事で頑丈な皮膚が出来、被毛がタワシのように硬くなるのです。
その為、ペットとして家庭で生活している場合、このような皮膚の刺激を受ける事なく成長をするので、皮膚は犬本来が持つ薄くデリケートな状態のままです。
たとえトリミング専用とは言えバリカンの刃を当てる事で表面に小さな傷が出来、出血や肌荒れを起こしてしまいます。
足先のカットにも注意が必要
バリカン負けを起こす場合に使用するバリカンには、替え刃の中でも最も小さいサイズの製品を使用します。
この製品は刃がとても小さく、万が一皮膚を傷つけても大きな切り傷が出来ないように工夫されているので、デリケートな部位の作業に用いられます。
具体的には
- シュナウザーの首元のカット
- プードルの顔面のカット
- 足裏のカット
- 足の指の間一本一本を指のラインに沿ってカットする場合
- 肛門周り
- 耳の先端、耳周り
などです。
いずれの部位も非常に皮膚が薄く、万が一怪我を負わせてしまっても縫合手術を施すことのできない部位です。
安全性を考えられたサイズの小さな替え刃ですが、目には見えないものの皮膚の表面には小さな傷が出来ていて、治りかけの時期はかさぶたにもなり、かゆみも伴います。
犬の中には、カット後足先をしきりに舐めようとする、お尻を引きずって歩くような仕草を見せることもあります。
このような場合、1日ほどで症状が治まり愛犬が気にする素振りを見せる事がなくなれば問題はありません。
ただし次回トリミングの際は
- 前回の利用時にバリカン負けがあったこと
- 今回はバリカンの使用を控えたい事
- 変わりのハサミで作業をして欲しいこと
などを相談すると安心です。
もし犬が数日たっても尚患部を気にする、しきりに足を舐める、噛むという様子が続く場合は動物病院を受診し患部に塗布する薬剤の処方やエリザベスカラーの貸与を受けましょう。
バリカンで出来た傷は当初は些細な擦り傷程度だったはずが、何度も舐める事で患部が湿気を帯びかゆみや赤み、中にはあかぎれのような状態に悪化してしまうことがあるからです。
まずは患部の化膿止め処置を行い、これ以上舐める、噛むことを予防してあげましょう。
犬の皮膚は加齢とともに敏感さ、体質に変化が生じます。
デリケートな部位のカットは愛犬の皮膚の状態を確認したうえでトリマーや獣医師と相談しつつ行いましょう。
デリケートな皮膚のトラブルに気がついたときは
皮膚トラブルや怪我を負った箇所は、完治する過程で乾燥するとかゆみを帯びる事があります。
このかゆみは犬にとってとても不快で中には執拗に掻き壊してしまうことがあります。
もしトリミング後に皮膚が赤みを帯びている、患部を気にする様子がある時は、自然な成分で作られたローションや保湿クリームで気になる部位をケアしてあげると完治を早める事が出来ます。
この時使用する製品は必ずペット専用、安全性の高い製品を用いましょう。
人間用の薬剤や製品は皮膚の薄い犬にとっては刺激が強すぎてしまいかえって傷口を刺激してしまうこともあるので注意が必要です。
患部が広範囲にわたる時は、薄手の通気性の良い洋服を1枚羽織らせてあげると患部を保護することが出来効果的です。
次回の入浴は患部が完全に乾燥し、愛犬が気にする素振りを見せなくなってから行いましょう。
この時患部を直接こすったり、ドライヤー中にブラシで刺激しすぎる事の無いように注意が必要です。