
犬の抜け毛に悩まされている飼い主さんは本当に多いものです。
カーペット、寝具、室内の思わぬところから抜け毛の塊が見つかり、なかなか終わらない掃除にストレスを感じることもあるでしょう。
抜け毛対策に、本来は長毛種の犬種を短くカットされる方もいます。
でも実はこの対策はかえって逆効果なのです。
毛が短くしても毛穴の数は変わらない
犬の抜け毛に悩み、本来「長毛種の犬種を短くカットして欲しい」、バリカンで「スムースコートの様に仕上げて欲しい」という要望がトリミングショップには多々あります。
代表的な犬種はミニチュアダックスフントやチワワ、ポメラニアン、シェルティなどです。
これらの犬種を短いスタイルにカットし場合、抜け毛が減ったという声もありますが、実際は単なる勘違いです。
被毛の長さが変わっても毛穴の数が変化するわけではないからです。
抜け毛が減ったと感じる理由は、長い被毛の場合、家族の洋服や寝具に付着した場合とても目立つものの、短い被毛の場合は、洋服に付着しても簡単に手で払う事ができるからでしょう。
ただ同じ本数の抜け毛があることには変わりはなく、短い抜け毛はカーペットの繊維や寝具の繊維に刺さり、絡まっているだけです。
抜け毛の量には変わりがないものの、本来の被毛のあるべき長さより短く切りそろえてしまう事で次第に犬の毛質は変化します。
柔らかかった被毛は硬く、ごわごわとした感触になり、場合によっては本来の長さまで生えそろわないこともあります。
中には毛色が黒ずみを帯びた色に変色してしまうこともあります。
抜け毛対策に効果があるという勘違いから、短いスタイルを繰り返している場合、実は効果がないこと、被毛が変質してしまうことも承知しておきましょう。
ブラシで取り除きにくいという面も
本来長毛種である犬をあえて短いスタイルにカットした場合、かえって抜け毛掃除が大変になることもあります。
短く切りそろえた被毛は、先端がとがり、硬い針状になります。
この硬い抜け毛は洋服やカーペットの繊維に突き刺さります。
抜け毛が長い場合は、指先で軽くつまみ取り除くことが出来ますが、短い被毛は繊維に絡まりかえって取り除きにくくなります。
こうなると掃除機や粘着ローラーも効果がありません。
もちろんブラッシングをしても、長い被毛ならブラシに絡めて取り除くことが出来ますが、短い被毛はそうもいきません。
抜け毛が減ると思っていたスタイルがかえって抜け毛の掃除を大変にしてしまうのです。
抜け毛対策に何より効果的な方法はブラッシングを正しく行う事です。
被毛の表面だけでなく、2層になっている下毛部分、抜け落ちたものの体に残留している抜け毛をしっかりと取り除き、家族の洋服やカーペットへの飛散を事前に予防することです。
こまめにブラッシングをしているものの、抜け毛対策に効果がないという声もあります。
その理由は、被毛の表面だけをブラシで撫でているにすぎないからです。
ブラッシングは被毛の表面でなく、根本部分にしっかりとブラシが到達させ地肌付近の被毛をかき分ける事がポイントです。
ドライヤー併用のブラッシングが効果的
ポメラニアンやシェルティなど、毛量が多く2層構造の被毛をしている場合、柴犬のように被毛の密集度が高い場合、なかなかブラシが被毛の根本まで行きとどかないものです。
このような犬種を自宅でブラッシングする場合は
- ドライヤー
- ピンブラシ
- ブラッシングローション
を用意しておくと重宝します。
ドライヤーは冷風もしくは弱風を使用し、ブラッシングをする部位に風を当て、被毛が根本から広がるように使用します。
ブラッシングをする部位のブラシの先端部分に風があたるイメージです。
送風をしながらブラッシングをすると、自然と被毛の根本から抜け毛を取り去ることが出来ます。
また送風をすることで、被毛の毛玉、絡まり、ゴミの付着もしっかりと見つける事が出来ます。
被毛が絡まっている部位には、ブラッシングローションを吹きかけ、湿り気を与えておくとスムーズに梳きほぐすことが出来ます。
ドライヤーの送風を嫌がる場合は、知育玩具やガムを用意し、これらの夢中になっている間を見計らって送風に慣れる練習をしてみましょう。
ドライヤーは必ず冷風もしくは弱風を使用し、短時間で済ませましょう。
全身をブラッシングしたい時は、5~10分ほどで都度休憩を入れてあげましょう。
被毛の根本からしっかりと抜け毛を取り去るこの方法をマスターすれば、愛犬が本来の長毛スタイルを維持することも簡単になります。
ぜひ短時間から練習を重ねてみましょう。