
ドッグフードだけでは栄養面が不安、高齢になったので関節炎のケアをしてあげたい、被毛をもっとつやつや、サラサラにしてあげたいと店頭に並ぶサプリメントや漢方に目が止まります。
気になるサプリメントと漢方の違い、選び方についてご説明させていただきます。
犬のサプリメントと漢方薬の違い
サプリメントと漢方薬の違いは「効果効能」があるかどうか、つまり、食品と薬の違いです。
サプリメントとは栄養を補充するための製品なので、具体的な効果効能、有効成分に関する取り決めがありません。
例えば、女性に人気のビタミン成分を配合したサプリメントを毎日服用したからといって、必ずしも美肌になる効果があるというわけではないことを考えるとわかりやすいでしょう。
でも、肌トラブルを改善するための漢方薬を服用した場合、飲み続けることで何等かの改善効果がみられます。
もちろん漢方はあくまでも薬ですから、医師からの処方や医薬品としての購入が必要になります。
つまり、特定の症状があり改善をしたい、薬で治療をしたい場合には、漢方薬を服用し、特定の症状はまだないものの予防を心がけておきたい、少しでも不安を和らげたいという場合にはサプリメントを選ぶとよいでしょう。
サプリメントはあくまでも薬ではないので、厳密な摂取量の決まりはありませんが、一部の製品は持病がある場合には摂取を控えるよう指示している製品もあるので、しっかりと確認をしましょう。
そして、漢方薬と漢方成分という言葉はとても似ていますが、大きく意味が異なります。
漢方薬は、漢方薬額や中医学を学んだ獣医師から処方を受け、服用をします。
一方の漢方成分とは漢方薬に使用される成分の一部を配合している製品であり、あくまでも薬としての役割はありません。
これらの製品は、販売価格も様々な必ずしも高額な製品ほど、効果効能が確実に現れるという事ではないのでしっかりと成分、効果を検討する必要があります。
犬に与える場合はサプリメントも漢方薬もまずはかかりつけ医に相談をし、犬の持病、体質にあった製品を選んであげることが大切です。
漢方薬はペット保険利用OK
これまで犬の病気治療には西洋医学が中心となって施されていましたが、このところの犬の長寿化や生活習慣病の多発などを受け東洋医学へも関心が高まっています。
東洋医学とは、
- 漢方
- 鍼灸
などに代表される医術です。
病気の治療を局所的にとらえる西洋医学と違い、東洋医学では体の不調を体全体の出来事としてとらえ、包括的な治療行為を行います。
例えばヘルニアを発症した場合、西洋医学では患部の骨を削り、金属のプレートをはめ込み、ゆがんだ骨格を修復することで治療を行います。
この手法では問題を起こしている患部をスッキリと取り除くことが出来ますが、術後のリハビリや神経の回復は別問題とされ、今度は別の取り組みが必要になります。
東洋医学ではこのヘルニアの治療も体全体の不調と捉え、患部の痛みを取り除くこと、周辺の筋肉やツボを刺激し、血流を整え、自力での歩行、立ち上がりが可能になるよう時間をかけゆっくりと改善へ向かいます。
つまり東洋医学には西洋医学のような即効性はありませんが、自身の持つパワーを引き出し、病気を受け入れ、折り合いをつけるお手伝いをしてあげることで病気や不調の改善を目指しています。
このような流れの中で、漢方にも注目が集まり、東洋医学や漢方薬学を専攻し、開業する獣医師が増えています。
近年、東洋医学や漢方薬が増えつつある中で、もちろんこれらの行為も医療行為、治療行為となるので、ペット保険の適用を受けることが可能なケースが増えています。
飲みやすいサプリメント vs 工夫が必要な漢方薬
市販のサプリメントは、飲みやすさ、飲ませやすさに着目し開発されているので、犬の食事に混ぜ与えてもさほど気にすることなく完食してくれるでしょう。
中には飲み水に混ぜるだけとより手軽な製品もあります。
一方の漢方薬は、人間のものと同じで特有の苦みのある強い香りが特徴的です。
犬にとって苦みはとても不快なもので、中には一旦ドッグフードに混ぜられて苦みを覚えてしまうと、次からはドッグフードそのものを警戒してしまうという事もあるほどです。
「良薬」だからきちんと飲んで欲しいという場合には、
- カプセルや錠剤で処方をしてもらい、都度、愛犬の喉の奥へ入れ込み飲ませる
- チーズなど風味の強いおやつに混ぜ、与える
- 犬用牛乳やヨーグルトに混ぜ、舐めることで飲み込ませる
などの方法を試してみましょう。
漢方薬は一定期間の服用で効果の現れる治療法ですから、犬が薬嫌いにならないよう、上手な飲ませ方、付き合い方を考えてあげましょう。