
小型犬の中でも比較的気性が荒い、気分の浮き沈みが激しいといわれる犬種にヨークシャーテリア、シーズー、マルチーズがいます。
いずれの犬種も日常的なお手入れが必要にもかかわらず、体に触れただけで唸る、威嚇する、噛みつくというケースもあり、対処法に悩んでいる方が増えています。
聴覚、嗅覚、視覚機能が低下していることも
犬も人間と同様で高齢になると聴覚、嗅覚、視覚機能が低下していきます。
そのため、若いころよりも様々な刺激に過敏になったり、家族の行動や気配に気が付くタイミングが遅れがちになります。
そのため、突然体に触れられた、突然抱き上げられたと感じることが多くなり、条件反射的に自分を守る行動をとってしまうのです。
もちろん相手が家族だと認識すれば、すぐに手加減をしたり、申しわけなさそうな表情を見せますが、なかなか改善が難しいと問題です。
特にこのような攻撃的な行動は「寝起き」によく見られます。
寝起きは機嫌が悪いのではなく、高齢なうえに、熟睡してしまうことで咄嗟の判断が鈍り、つい条件反射的な防衛行動に出てしまうのです。
犬が高齢になり、このような行動を見せることが増え始めたら、できる限り余計な刺激を避けるために、お手入れは最小限になるよう心掛けてあげましょう。
またトリミングショップ、ペットホテル、動物病院を利用する際は、そのような突発的な行動があることを事前に伝え安全に配慮しましょう。
声掛けで警戒心を解いてあげる
まだ若く、元気な犬でも不意のことに家族に対して攻撃的な行動を見せることがあります。
このようなケースがみられる環境は
- 子犬のころから留守番、ハウス内で過ごす時間が長い
- 乳幼児、小さな子供のいる生活環境
- 多頭飼い
- 飼い主の犬の飼育経験が浅い
などです。
犬にも人間同様に感情があり、ストレスを感じることもあります。
不快なことをされたり、大切なものを不意に取り上げられたり、突然抱き上げられたり、睡眠を邪魔されたり、乱暴にお手入れをされたりということがあれば、本能から防衛行動をとるようにもなります。
特に日ごろ留守番やハウス内生活が長く、自身の生活リズムが確立されてしまっている場合、不意に人間に触れられること、生活リズムを崩されることを嫌う傾向が強まります。
このような場合は
- 犬が嫌がる場合は、無理強いをしない
- 犬に「おいで」を習得させ、自ら飼い主のほうへ近づくようにしつけをする
- 様々な方法でスキンシップを図る
という方法がおすすめです。
また触れる、抱き上げる、お手入れをする場合には、必ず事前に名前を呼び、声をかけ、犬が家族に意識を向けたことを確認してから次の行動へ進みましょう。
この声掛けのワンステップをいれるだけで、犬の防衛行動を予防することができます。
触れてからおやつ、ごはんに
家族に対して攻撃的な行動、防衛行動を見せる背景にはいろいろな理由がありますが、おおむねこのような犬に共通することは、人間の「手」を嫌っているということです。
そのため「手」の存在を感知しただけで、即座にスイッチが入り、条件反射的な行動を起こします。
まずはこの点から解消してあげましょう。
手を嫌う理由は
- 手でたたいた、驚かせた経験がある
- 爪切りで出血させてしまったことがある
- 無理にブラッシングをしたことがある
など様々です。最近では歯磨きが原因で、「手」を嫌う犬も増えています。
この問題を解消するには、家族の「手」を好きになってもらうことから始めます。
おやつを上げるとき、ドッグフードを上げるときは器を使ったり、そのまま床に置くのではなく、あえて掌に乗せ、犬の前に差し出し、食べさせてみましょう。
最初は躊躇することもあるものの、次第に掌に躊躇なく近づき、食べることができるようになります。
慣れてきたら、おやつやフードを手の中に握り、犬の前に差し出し、握りこぶしの匂いをかがせたり、左右どちらの握りこぶしの中に入っているかを当てさせる遊びをしてもよいでしょう。
繰り返すうちに、家族の掌は常にいいことがあると認識し、余計な警戒心を抱かないようになります。
用がなくても触れることが大切
犬が攻撃的な態度に出ることを予想すると、ついあえて触れない、お手入れはプロに丸投げとなりがちです。
でもヨークシャーテリア、シーズー、マルチーズなどの犬種は生涯にわたって自宅でのお手入れが欠かせない犬種です。
問題行動は諦めずに解消を目指すことがよいでしょう。
犬がお手入れや洋服の脱ぎ着、触れられることを嫌がる場合は、敢えて用事がないタイミングで犬に触れましょう。
何も用がないからこそ、飼い主もリラックスした気持、ダメ元で愛犬に触れることができます。
何か用事、目的があるとつい手に力が入り、緊迫した雰囲気にもなります。なのであえてテレビを見ながら、スマホを触りながら、なんの用事もないタイミングが効果的なのです。