
実は犬のしつけの中で「執着」「独占欲」解消のしつけの大切さはあまり知られてはいません。
でも海外ではこのしつけは子犬の頃に当たり前に済ませる大切なしつけと考えられています。
子犬を家族に迎える時、犬のしつけ、問題行動にお悩みがある方は早速しつけを始めてみましょう。
執着、独占欲は野生の本能
犬の食事といえば、決まった時間、決まった分量を守る事、食事の前にお座りをさせる事につい夢中になっていませんか?
お座りをした犬の目の前にドッグフードの入った器を置き、飼い主はその場を離れたり、一生懸命に食べている可愛らしい姿を見つめていたり、写真を撮ったりすることはあっても、犬の食器や食べている最中のドッグフードにはあえて手を触れないでしょう。
でも実はこのタイミングで、あえて手を触れる事はとても重要な意味があります。
実は犬は生後間もない時期は、兄弟と一緒に母乳を飲み、離乳食も兄弟と一緒に同じ器で食べます。
でもその後次第に体が大きくなるにつれて独立心が強くなり、自分の食べもの、自分のお気に入りの物への執着が強くなり、最終的には縄張り意識が芽生えます。
このような精神的な成長は野生の環境で生活をする中ではとても重要な意味を持ちますが、
- 家庭のペットとして暮らす事
- 生涯人間と共に暮らす事
- 高齢になれば人間から介護を受ける事
を考えると、強い独占欲や執着心がネックになるものです。
この本能を子犬の時期、家族に迎えた直後に解消しておくことの必要性をしっかりと理解し、日々のしつけに取り組みましょう。
基本のしつけは「食事」から始める
犬に食事を与える時は、器に入れ与えるという方法と合わせて、人間の掌から食べる事を何度も繰り返し経験させましょう。
一見あたり前に出きるように思える行動ですが、実はペットショップで販売されている子犬の中には、これまでこのように人間の掌におかれた食べ物を直接食べる事が出来ない場合もあります。
これは大規模な繁殖場で誕生した子犬に多く見られ、これまで食事は母犬から分け与えられた物、もしくは器で置かれたものしか食べる機会がなかったためです。
このような子犬は、当初は戸惑い、掌のドッグフードに近づく事が出来ない場合もありますが、無理強いをさせずにゆっくりと優しく、子犬がドッグフードを食べる事が出来るまで時間をかけてあげましょう。
掌から食べる事が出来るようになったら、次は子犬が食事をしている最中にそっと体に触れてみましょう。
背中、頭、尾など体全体をそっと撫でます。
この行為も一見簡単そうに見えますが、動物にとって食事中は非常に無防備になる瞬間です。
平静を保っているように見えていても実は緊張し、警戒状態にあります。
その為、不意に人間に触れられると途端にその場を離れたり、噛みついたり、威嚇をする事があります。
しかし優しく声を掛けながら、そっとさする様に触ると次第に食事中に触れられることへの警戒心が溶け、安心した状態で食事ができるようになります。
そして最終段階は、子犬が食べている器の中に飼い主が手を入れ、ドッグフードを掻きまわしてみましょう。
当然子犬は自分の食べ物を横取りされると感じ、焦り、怒り、威嚇をする事もあります。
この時は厳しく叱り、決して攻撃的な態度を取ってはいけない事をしっかりと理解させます。
ただし力づくで犬を押さえつけたり、厳しく叱る事では逆効果です。
犬はその場では飼い主の勢いに負け、伏し目がちにな態度に出ても、タイミングを見て反撃出来るタイミングをうかがう様になるからです。
犬に間違った行動を教える時は、大きく、低い「声」だけが効果的です。飼い主が怒っている事、褒めている事を声を使い分ける事で明確に伝えましょう。
このしつけは、成犬や保護犬を家族に迎えた場合にももちろん必要です。
成犬や保護犬は特に自我や危機意識が強いので食べ物、身の回りの物への独占欲や執着心が強く見られます。
その為、普段はとても大人しく思える犬は不意なタイミングで豹変をしたり、攻撃的な態度に出る事があります。
共に暮らす家族として、攻撃性につながる問題は早期に解決をしておきましょう。
将来治療や入院のネックになることも
この執着や独占欲解消の為のしつけは、家庭ではもちろんのこと、様々な理由で飼い主以外の人間から世話を受ける必要が生じた時に大変役立ちます。
例えば
- ペットホテルの滞在
- 動物病院への入院
- ペットシッターの利用
などです。
犬は飼い主が不在になる事で、いつもにも増して執着心や独占欲が強まります。
犬のリードやタオルに他人が触れただけで噛みつく、威嚇をする、給餌の為に食器に触れただけで攻撃をする犬もいます。
このような迷惑行為、危険行為がある場合、御世話や治療がスムーズに進まないこともあるので、事前にしつけで解消をしておくことが大切です。