
トリミングショップでお手入れ内容の相談をするときに、ひげを切りますか?と聞かれ驚いたことはありませんか?
犬のひげはあって当たり前と考えていて、切るなんて想像もしていなかったという声多く聞かれます。
ここで犬のひげについて詳しくご説明させていただきます。
トリミングショップで聞かれる「ひげは切りますか?」
トリミングショップを利用する時、オーダー内容、カットスタイルの相談と合わせて「ひげを切りますか?」と聞かれることがあります。
大抵の方は「ひげは切っても大丈夫ですか?差支えないですか?」トリマーさんに逆に質問をするほどです。
実は犬のひげは猫のひげと違い、触覚やセンサー、メジャーの役割はありません。
そのため、ひげを切ったからと言って途端に日常生活に支障が出る、ストレスを与えてしまうということはありません。
ではなぜひげを切るのかというと単なるお手入れ、見栄えの理由だけです。
ひげを切った方が顔周りがすっきりと見えます。写真撮影をするときに白いひげがフラッシュの反射せずに済みます。ひげを切るメリットは本当に見栄えだけの理由なのです。
またトイプードルのテディベアカットの場合、濃い色の被毛の中に黒いひげがあると見栄えが悪いと感じる方もいるので、ひげだけは根本から切っておくこともあります。
ひげを切る方法は?自宅でもできる?
ひげを切る時は、トリミング用ハサミの中でもサイズの小さい部分カット用を用います。
顔周りの作業なので体のカットに使用するサイズの大きなものではなく、仕上げ用の小さなハサミを使用します。
カットする時は、ハサミの刃先を完全に犬のマズルに密着させ、素早く根本から切り落とします。
この時、ハサミの刃先はできる限り狭く開き作業をします。
刃先を大きく開いたり、刃先が不安定な状態で作業を進めると、不意に犬が動いたり、口を開けた瞬間に皮膚を傷つけてしまう危険があります。
犬にとって口元を押さえつけ、作業をされるという事は本能的に不快と感じることです。
そのため、中にはハサミを口元に当てた瞬間に顔をそらす、口を開ける、天井を見上げるようにして拒絶の意思表示を示すなどの行為や噛みつく、うなるなどの行為をすることもあります。
ひげを切る作業はプロトリマーでも危険、苦手と感じることが多い難しい作業です。
家庭で行う時は、決して無理をせず、愛犬の様子を見ながら進めましょう。
また犬のひげは爪と同じ成分でできているので、意外に硬くしっかりとしています。
そのため家庭にあるハサミや文房具用ハサミなどで簡単に切ることが出来ないので注意しましょう。
ひげ切りは犬のお手入れとして必須項目ではありません。愛犬がひげ切りを苦手とする時は、行わなくても全く支障がないので、気にせず受け入れてあげましょう。
犬のひげの役割
犬のひげも犬の体の一部ですから、もちろん役割をもっています。犬のひげが持つ役割には
・自分の体のサイズを把握するためのメジャー
(狭い場所や足を踏み入れたことの無い場所へ踏み込む時にひげを使って、通過が可能かどうかを判断します。)
・空気の流れを感じるセンサー
(ひげで感じる風の向き、強さ、臭いを使って危険や進むべき方向を感知していました。)
・目を守るためにひげで真っ先に危険を察知する
などがあります。ただこれらの機能は野生の環境で生活をするうえでは重要とされる機能です。
つまりオオカミのような生活をしていた当時に使っていた機能です。
現代のようにペットと進化した犬達はこの機能をすでに失ってしまっていて、ひげは感情や表情に連動して動く飾り程度の役割だと言われています。
ただ同じひげを持つ猫の場合、ペットとして生活をしているものの、内面は強く野生が残っているので、今でもひげはとても重要な役割を担っています。
つまり猫のひげが持つ役割に比べると犬のひげが持つ役割は各段に機能が劣ってしまいます。
ひげを切るとどう変わる?
犬のひげを切るとどう変わる?何のため?と質問を受けることがあります。
この答えは100%見栄え、写真移りのためです。
つまりひげを切っても支障もない代わりにメリットもありません。
ただ犬のひげは一旦切っても数か月もすれば元の長さに生え揃います。
ただ本来は3,4㎝あるはずのひげですから、根本で切りそろえてから生え揃うまでの期間はまばらな長さになり、伸び掛けの時はチクチクとした感触が不快、見栄えが悪いという声もあります。
この点はあくまでも飼い主さんの判断で、トリミングの都度伸び掛けのひげを切り続けるのか、それともこのチクチク感が嫌なので今後のひげ切りを行わないかだけの話です。
もちろん伸ばしたままにしておいても支障はありませんのでご心配はいりません。