
最近、ニュースやワイドショーでよく見かける秋田犬。
平昌オリンピックの女子フィギュアスケートで金メダルを獲得し、昨日9月19日に今季初戦を迎え、活躍が期待されるロシアのアリーナ・ザギトワ選手に贈られた秋田犬の勝(まさる)は皆さんもご存知でしょう。
ふわふわモフモフの毛と、小さな目、三角のぴょこんとした耳、くるりんと巻いた尾が特徴の大型犬が秋田犬です。
オスとメスで顔つきは少し違いますが、凛とした精悍な顔つきで、飼い主に対する忠誠心が厚く、飼い主に全力でつくそうとします。
無駄吠えがほとんどなく、訓練性能が高いので子犬の頃からしつけると様々なことを覚えてくれ良きパートナーになってくれます。
そんな秋田犬は、現在日本国内で約2000頭、海外では国内のほぼ倍の約4000頭の登録数です。
このことからも、秋田犬が海外で人気があることがわかります。
海外に渡った秋田犬
日本国内から初めて海外へ渡った秋田犬は、来日していたヘレン・ケラーが帰国する際に1頭を連れて帰ったのが初めてでした。
ですが、今の海外での秋田犬の人気は違うところから火がつきました。
それは、2009年に公開されたリチャード・ギアが主演を務めたハリウッド映画「HACHI約束の犬」です。
日本でも有名な「忠犬ハチ公」の話をアメリカを舞台につくられた作品です。
アメリカ版でもHACHIは飼い主に忠誠で、突然死をした飼い主をずっと待つ犬のお話。
このずっと待っている姿に涙腺が崩壊してしまう人が続出のことでしょう。
そうして秋田犬の海外での人気はアメリカだけにとどまらず、ロシアやヨーロッパの方にも知られ、選ばれて飼われるようになっていきました。
秋田犬の現状
秋田犬は現在、世界的に人気がありながら飼育数は減少してきています。
その理由としては、血統の劣化があります。
血統書の無い犬同士の交配や海外での繁殖によって、秋田犬の基準を満たさない犬が生まれていること。
ブリーダーの高齢化が進み後継者不足も深刻な状況であること。
さらには飼育放棄された犬が、毎年数多く殺処分されていること。秋田犬は大型犬で力がとても強いので、小さい頃にきちんとしつけをしなければ飼い主でも持て余すほど大変です。
散歩の際には力強く引っ張られるので、体力がないと飼育がきびしい状況もあります。
そして、飼い主には忠実ですが見知らぬ人には警戒心がとても強いので、飼育放棄をされた秋田犬はなかなか保護することも、それから新しい飼い主を見つけることも難しく殺処分が避けられない現実があります。
日本の住宅事情も、秋田犬を飼うことを難しくしている要因でもあります。
家の中でも外でもスペースは必要ですし、無駄吠えはあまりしませんが吠えると体が大きいので鳴き声も大きいため、ご近所への配慮が不可欠です。
さまざまな状況を考えると、秋田犬は海外で飼うことに向いているのかもしれません。
秋田犬の未来
さまざまな困難がある秋田犬の飼育や繁殖ですが、日本犬として国の天然記念物にも指定されています。
その秋田犬を日本が誇る財産であるとして、未来に残していくためのプロジェクトが動き出しました。
海外での人気の影で日本の国内で大変な状況にある秋田犬の、保存と保護を目的としていて秋田県や大館市が後援しているのも特徴です。
このプロジェクトには私達のような一般市民も参加できるプランも用意されていて、とても興味深いのと同時に大変な状況なのだというのが垣間見えます。
秋田犬の魅力にはヘレン・ケラーにはじまり、ロシアのプーチン大統領もザギトワ選手も秋田犬を一度飼うともうメロメロになってしまうようです。
海外での秋田犬人気を支えていくためにも、日本国内での理解と支えが必要なのです。