
愛犬を抱き上げようとした時、触れようとした時、リードの着脱をしようとした時に甲高い声でキャンと悲鳴を上げることがあります。
中には連続でキャンキャンと泣き叫び、どこか怪我をさせてしまったのではと不安になることもあるでしょう。
犬が悲鳴を上げる時に心理を理解し、しつけと健康管理の両面から接し方を身に着けておきましょう。
抵抗できない小型犬の意思表示の手段
小型犬の中には特段の怪我や衝突、落下などの原因が無いにも関わらず不意のタイミングでキャンという甲高い鳴き声を上げる犬がいます。中には日常的にこの鳴き方をすることもあります。
飼い主の立場では、小さな愛犬がこのような鳴き方をすると、飼い主の側に非があると感じ、どう対処していいのかわからないと感じることもあるでしょう。
実はこの鳴き方は小型犬からの意思表示の意味があります。
リードの着脱が嫌だ、抱っこが嫌だ、叱られたくないなど様々な場面で応用されて使われます。
小型犬はその体の小ささから人間に抱き上げられたり、行動を制限されるときに抵抗しきれない事があります。
そのような時に甲高い声を出し相手を遠ざけることで、自分の意思を貫くという方法をとります。
飼い主側も抱き上げようとした瞬間に悲鳴を上げられては、思わず手を引っ込め、抱き上げることではない方法で対処をしようとします。
この一連の仕組みを小型犬が学習をすると、自分の意にそぐわないことが起きた時に、あえて悲鳴を上げるのです。
ただ時には愛犬の意に反して抱き上げたり、リードをつけたり、無理にでもリードを引きよせ歩かせなければならないこともあります。
そのような場面では、自身の悲鳴に効力がない事を悟ると、噛みつく、暴れるなどの次の手段に出ることもあるので注意しましょう。
この行動は実は飼い主に対してだけでなくトリミングショップや動物病院でもよくみられる行動です。
トリミングショップではトリマーがただ手で触れただけ、ハサミが視界に入っただけで悲鳴を上げる犬もいます。
そのような場合は無理強いをして作業を継続するのでなく、一旦犬を落ち着かせ、オヤツを与えるなどの方法で別のことに意識を反らせることで対処をしています。
過去のトラウマから身に着けた防衛手段
過去に飼い主との衝突で骨折をしてしまったことがある、不注意で愛犬を落としてしまい怪我をさせたことがある、深爪をして出血をさせてしまったことがあるという場合、愛犬にはトラウマとなって記憶されています。
そのため再度同じシチュエーションに遭遇すると、瞬時にその場面が思いだされ、激しく悲鳴を上げ身を守ろうとする行動に出ます。
この時、愛犬も身を守ることに必死ですから、飼い主がどんなに再発が無いと確信をしていても呼応はありません。
このようなケースでの悲鳴にはトラウマと同じシチュエーションを避けることが最も効果的です。
以前は抱っこをして爪を切っていたなら、テーブルの上に愛犬を立たせ爪を切る方法に切り替えてみましょう。
抱っこからの落下が理由で悲鳴を上げる場合には飼い主が床に腰を下ろし、足の上に愛犬が自ら上がるようにオヤツで誘導することから始めてみましょう。
トラウマの解消には飼い主の根気が必要ですが、焦らず優しく接することで必ず信頼関係を再構築して再度抱っこが出来るまでになります。
悲鳴は愛犬からのSOSだと受け止め、無理強いではなく解消で対処してあげましょう。
目には見えない病気のサイン
抱き上げようとした時、ブラッシングをしているとき、足に触れた時、不意に甲高い声で鳴いたり、その部分を守ろうとする仕草がみられる時は愛犬が何等かの病気を抱えている可能性があります。
外見からは目立たない場合でも湿疹が出来ていたり、皮膚がただれていたり、中には腫瘍が出来ていることもあります。
中には関節の痛みを抱え、足に触れられたり、抱っこをされることを拒むがゆえに悲鳴を上げるケースもあります。
このケースは時に中高齢期の犬に多くみられます。
日ごろはとても大人しく、飼い主に牙をむくなど到底考えることの出来なかった愛犬が悲鳴を上げたり、牙をむくようなことがあれば、患部を守っているサインです。
これ以上患部を刺激しないよう注意しつつ動物病院を受診してあげましょう。
もちろん受診の際は動物看護師さん、獣医さんに悲鳴を上げる可能性のある個所をあらかじめ伝え愛犬による噛みつき事故が起きないよう注意しましょう。
決して単なる甘えではないこともある愛犬の悲鳴
愛犬の悲鳴には様々な意味があります。
犬は本来痛みに強い動物ですから、些細なことでは甲高い声で悲鳴を上げません。
もしたびたびこのような様子が見られる場合は動物病院を受診しその原因を調べてあげましょう。