
猫と一緒に暮らしている方にとって一番の願いといえば、愛猫が1日でも長く健康に暮らしてくれることではないでしょうか?
でも猫が高齢になればなるほど、健康の維持というのは難しいものです。
なかでも腎臓疾患は高齢猫の多くが悩まされているといわれています。
そこで今回は猫の腎臓疾患の症状や治療、予防についてお話します。
慢性腎不全の症状と治療
猫と一緒に暮らしていると猫が腎臓疾患にかかりやすい動物だということを、耳にする機会もあるのではないでしょうか。
実際、犬よりも猫の方が腎臓疾患にかかりやすく、高齢な猫では3割以上の猫が何かしらの腎臓疾患を患っているといわれるほどです。
中でも徐々に腎臓の機能が悪くなり、血液の中の老廃物を体外に排出できなくなってしまう慢性腎不全は高齢な猫によくみられる病気。
症状としては尿の量が多くなったり、多く水を飲んだりという多飲多尿や、吐き気、口臭などがあります。
一般的な治療法では療法食を与えたり、点滴を行ったりすることで症状を抑えていきます。最近では猫の腎臓疾患に効果的な新薬も登場し、症状の進行を遅らせる薬の投与を行う方法もあります。
病院の中には人間の人工透析にあたる腹膜透析を行っているところもありますが、腹部にチューブを入れたままにしておくため、感染のリスクや猫へのストレスが大きいといったデメリットもあります。
また腎臓移植を行っている病院もありますが、こちらの治療には問題やリスクもありますので、治療に入る前によく獣医師と相談するようにしましょう。
急性腎不全の症状と治療
次に何かしらの原因で急激に腎臓の機能が失われてしまう急性腎不全についてお話します。
猫の急性腎不全には病気によるものと、腎毒性のある物質を摂取することによって起こるものがあります。
急性腎不全を起こす原因となる病気には、下部尿路症候群や心臓疾患、伝染性腹膜炎などがあります。こちらのような病気にかかっている猫は、健康な猫よりも急性腎不全にかかりやすいのでとくに注意が必要です。
病気が原因の急性腎不全の場合には、元の病気を治療することで改善する場合がほとんどです。
また腎臓にダメージを与える、腎毒性のある物質にはエチレングリコールや、ユリなどの植物がありますので、間違って口にしないよう十分に気をつけてあげましょう。
どちらの急性腎不全の場合も症状としては、元気がなくなったり食欲がなくなったりというほかに、痙攣や口からの出血もあります。
この2つの症状が出てくると手遅れになる場合もあるので、早急に動物病院に連れて行くようにしましょう。
腎毒性のある物質による急性腎不全の治療方法としては、点滴や透析によって腎臓にダメージを与える物質を排除するというのが効果的です。
腎臓疾患の予防方法は?
大変つらいことではあるのですが、腎臓疾患を完全に予防する方法というのはないというのが現実です。
しかしここまでの説明でわかるように、腎臓に負担をかけないように気をつけるということが腎臓疾患の予防につながります。
中でも尿道の結石などの下部尿路症候群による腎臓への負担を予防するのは、日々の生活の中でできるものです。
下部尿路症候群は猫のかかる病気の中でも、罹患率が高いといわれています。
そのため専門店に行かなくても、下部尿路症候群に配慮したキャットフードを購入することは可能です。
またトイレの個数や掃除の回数を増やすことによって快適に排泄できる環境を作るということも、下部尿路症候群を防ぐ方法ですので、積極的に取り組んでみましょう。
また腎臓疾患を早期に発見するということで重症化を防ぐこともできます。いつもとちょっと違う行動があったり、気になったりした場合にはすぐに動物病院に相談するようにするというのも大切です。
ほかにも年に1回は健康診断を受けるという習慣もつけるようにしましょう。