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「犬は猫より鼻が利く」、「猫の耳は犬よりも良い」というように、犬猫の優れた面が話題に上がります。
実はこの都市伝説には様々な見解があるのをご存知ですか?
天下分け目の 犬猫合戦 を仕掛けるわけではありませんが(笑)、犬好きも猫好きも楽しめる、ペットおもしろ雑学を考察してみたいと思います。
かぎ分け情報量がダントツの犬の臭覚
まず犬の鼻がいいという説ですが、この点自体は本当です。
犬の嗅覚は、個体差や年齢、犬種による違いはあれど、人間の数百倍とも数千倍とも言われています。
この人間との能力の違いは、嗅覚によってかぎ分ける事が出来る情報量の違いです。
例えば犬は散歩中に嗅ぐ他犬の尿の臭いから、その犬の性別、年齢、発情の有無、縄張りの広さなどの情報を収集することができます。
人間にとっては単なる不快なアンモニア臭ですから犬との嗅覚機能の違いが明白です。
お散歩中に電信柱の根元を “ クンカクンカ ” しているワンコ、あれは、自分の縄張りを確認するためと、よそ者がいないかを調べているんですね。
警察犬で刷り込まれたイメージ
犬の鼻がいいというのは、「警察犬」や「災害救助犬」、「麻薬探知犬」の活躍を目にする事で広まったイメージが大きいのではないでしょうか。
犬の優れた嗅覚を活用すれば、災害現場から人間を捜し出すことで道路に僅かに残る痕跡を追跡する事、癌患者特有の体臭を感知することも可能で、実際に、警察犬として活躍している犬や、阪神淡路大震災等で活躍した犬、医療の現場で活躍している犬がいます。
人の役にたっている犬を見ると、本当にほほえましくて、たんまりと好きなご飯を作ってあげたくなりませんか?
「やっぱり犬は人と共に在る」だな~とジーンときます。
厳しい訓練を受けた犬だけがもつ能力
しかしこの能力は全ての犬が持ち合わせているわけではありません。
犯人を捜したり、救助を行ったり、病原をかぎ分けたりといった特殊な能力は、実は厳しい訓練を何度も何度もしている犬だけがもつ特殊能力です。
訓練を受ける犬は、全て規則正しくタイムスケジュールが決められており、ご飯の時間、トイレの時間、寝る時間等、「遊ぶ」という概念が無いに等しい、想像を絶する厳しい環境で訓練を受けています。
本来犬が持つ優れた嗅覚は厳しい訓練の中でさらに鍛えられ発揮できるもので、普通に生活している犬は、本来もつ臭覚機能を発揮することなく日常生活を送っています。
盲導犬のエピソードでは、盲導犬は目が不自由な飼い主のサポートに徹するよう訓練された犬です。
盲導犬さえいれば飼い主は信号を渡れるし(色の見分け)、車に接触することもなく(音で危険察知)公道を歩けます。
また家の中にいても、飼い主がケガをしないようドアを開けたり、温度の高いものを察知したりと、本当にその活躍ぶりは見事なもので、これは臭覚だけでなく、視覚も聴覚も必要になります。
盲導犬と寝食を共にする飼い主さんは、どれだけ心強いのだろうかと想像が尽きません。
猫よりも優れているわけではない
猫と比較して犬の方が臭覚が優れているというのは、あまりにも個体差があるので、あえて優劣はつけるべきではないと私は思います。
犬にも、訓練が向いている犬種、より臭覚が優れている血統(DNA)、もともとの性格、こういった個体差があり、この中で「もともとの性格」というのが一番大きいと私は思います。
飼い主に従順であること、それも尋常でないほどの従順さ、そして忍耐力、体力、こういった個体差は同じ親から生まれる犬でもあるものです。
「気まぐれ」「気分屋」と言われる猫も同様に、飼い主に従順な猫もいれば、遠くにいる自分の子供の臭いをかぎ分けて探し当てるほど臭覚が良い猫もいます。
飼い主の言う事は耳だけピクピクさせてオール無視、遊んで欲しい時だけ近寄ってくるという猫に多い性格が「働き者じゃない」というイメージを刷り込ませ、「犬は猫より鼻が利く」という認識に変わっていったのだと思います。
猫は狩りの名手ゆえの所以がある
今度は犬と猫の「耳」についての考察ですが、猫はその昔、海賊船のネズミ捕りが得意なことから「飼い猫」として増えていった逸話をご存知ですか?遠くにいるネズミの声や足音を聞き分け、探し当てては捕まえていました。
人間用の食糧を荒らされ放題だった海賊たちは、すごく助かったことだろうと思います。
こう話すと、「猫はやっぱ耳がいいじゃん!」と思うかもしれませんが、実は猫は、耳よりも「狩り」が上手なんです。
サバンナにいるライオンやチーターを想像してください。
草むらでひっそりとシマウマの群れを見張り、足音を立てずに近寄り、一気にダッシュ!猛烈な速度でシマウマを追い、爪で必殺!
こんなDNAを引き継いでいるニャンコですから、チマチマと動くネズミ捕りはお手の物、「趣味」、いいえ「習性」みたいなものなのです。
確かに、遠くにいるシマウマの群れを探し出す能力は長けていますが、それは「音」と「臭い」、つまり聴覚と臭覚で探し当てていますから、耳だけが良いとも言い切れません。
犬と猫の行動学研究から考察
犬の行動学の研究によると、犬は情報収集の6割以上を視覚に頼っている事が判明しています。
つまり飼い主がこっそり隠した食べ物を犬が見つける事が出来るのは、鼻がいいからだけでなく、飼い主の行動をしっかりと観察しているからなのです。
実は犬も猫も、日常生活でどんなにリラックスしているように見えていても、完全な脱力状態にはありません。
これは睡眠中も同じで、常に聴覚は過敏な状態にあり、些細な音でも危険を察知すれば咄嗟に行動を起こすことができます。
ほんの些細な音や突発的な物音への反応や俊敏な行動は、犬よりも猫の方が得意です。
そのため、猫の方が耳が良い、些細な音でも犬よりも先に聞き取る事が出来ると言われるようになった所以ではないかと思います。
(おまけ)うちの飼い犬と猫は除外
でも飼っている犬と猫をみると、飼い主が帰ってきても耳をピクリとも動かさずに寝たまま、ソファーでヘソ天して寝そべっている姿をみると、うちの犬と猫は、中にヒトが入っているんじゃないか?と思うほど呑気で、本能のホの字も、野生のヤの字もありません。
鼻が利く“はず”のうちの犬、石油ストーブの排気口の前で日向ぼっこしてますが大丈夫なんでしょうか(笑)
耳が利く“はず”のうちの猫、いつもテレビのスピーカーの前で寝ていますが大丈夫なんでしょうか(笑)
「犬は猫より鼻が利く」、「猫の耳は犬よりも良い」の都市伝説は、後世の人間が作り出したイメージに過ぎないのかもしれませんね。