
日本犬と聞いて思い浮かぶ犬はどんな犬ですが?散歩している姿を見かけることが多い柴犬、忠犬ハチ公で知られる秋田犬、テレビの時代劇のオープニングに出演している紀州犬など、さまざまな犬が思い浮かびますよね。
でも日本犬の中には今あげた犬たちのほかにもいろいろな種類の犬がいます。
今回はそんな日本犬の犬種についてお話していきましょう。
日本犬の定義
はじめに意外と知らない「日本犬の定義」についてです。
「日本犬なんだから日本に昔からいる犬種のことだろう?」と思っている人が多いようですが、実はこの日本犬という言葉の中には、はじめにあげた日本に古くからいる犬・現存在来犬種と、特定の地域にだけ昔からいる現存在来犬種以外の犬種・地犬、外国から入ってきた外来犬種を元に交配することで生まれた日本原産の犬種の3つの種類が含まれています。
最初にあげた現存在来犬種は6種類で、どれも国の天然記念物に指定されています。
この6種類以外にも在来犬種は複数あるのですが、純血種が途絶えていたり、非常に頭数が少なくなっていたりと残念な状況にあるものが多いようです。
1934年6犬種とともに一度は国の天然記念物として指定された「越の犬(こしのいぬ)」は、数を減らしてしまい1971年には純血種が途絶えてしまいました。
このようなことが多くあったため、今では川上犬や琉球犬のように地域ごとに天然記念物に指定し保護したり、薩摩犬などのように保存会を設立したりして純血種の維持に努めています。
ここまであげた日本に古くからいる在来種以外にも、4種類の日本原産の犬種がいますが、外来種を元にしたり、交配したりしたものなので、在来種とは区別して考えられます。
それぞれの名称と特徴
国の天然記念物になっている現存在来犬種6種は、多くの人にとってなじみのある犬種ばかり。
現存在来犬種唯一の大型犬は、映画にもなった忠犬ハチ公と同じ犬種の秋田犬です。
大きな体と密度の高い被毛が特徴ですよね。
秋田犬の毛色はよく見かける赤のほかに白や虎、ゴマ、黒もありましたが、ゴマと黒は現在絶滅したといわれています。
現存在来犬種のうち小型犬も1種のみ、柴犬です。
柴犬は飼育数も多いのでよく見かける犬種でもありますね。
他の在来犬種同様にくるりとした巻き尾が特徴。
近年では柴犬の中でもとくに小さな固体を交配することで「豆柴犬」と呼ばれる犬もいますが、これはあくまでも通り名であって特有の犬種ではありません。
秋田犬と柴犬は海外でも人気のある犬種です。
中型犬に属する現存在来犬種は4種類
山梨県原産で虎毛と呼ばれる毛の模様が特徴の甲斐犬は、イノシシやシカを追う狩猟犬の役割を持っていました。
紀州犬はその名前の通り昔の紀伊国、現在の和歌山県から三重県の熊野地方で狩猟犬として飼われていた犬です。主にイノシシ狩りに使われていたのでがっしりとした体格が特徴。
四国犬は土佐犬とも呼ばれますが、大きな体が特徴の土佐闘犬とは違う種類です。
ワイルドな見た目から狼に見間違われることもあるのだそう。
北海道犬はアイヌ犬とも呼ばれます。こちらの犬種は携帯電話のCMに登場する犬でもおなじみですね。
北海道に古くからいた種類のため、暑さに弱い固体もいるので飼育には注意が必要です。
外来犬種の交配による日本原産の犬種
ここまででご紹介した在来犬種のほかに、海外の犬と日本の犬を交配したり、外来種を元にしたりして固定化した日本原産の犬種もいます。
こちらには狆(ちん)・土佐闘犬・日本テリア・日本スピッツの4種類があります。
狆と土佐闘犬は古くから日本にいる印象が強いため、在来種と間違われることがありますが、狆は中国原産の犬の子孫といわれていて、土佐闘犬は江戸後期から明治時代にかけて在来種である四国犬にイングリッシュ・マスティフやブル・アンド・テリアなどの複数の外来種を交配して作られた犬種です。