
怪我や皮膚トラブル、手術直後など患部を保護する為に「エリザベスカラー」を着用します。
エリザベスカラーは、首に巻き付ける事で首の可動域を制限し、犬が患部を噛み刺激してしまうことを予防します。
最近このエリザベスカラーにも様々な素材の製品が登場しています。
正しく選ぶ事で犬のストレスを軽減し安全に使用しましょう。
プラスチック製エリザベスカラーを使用する場合
動物病院で一般的に使用されているのはプラスチック製の透明なエリザベスカラーです。
強度の高いプラスチックでできているので安全性が高く、透明なので視界も遮られません。
このタイプは、確実に患部を保護出来る事が何よりのメリットです。
とてもしっかりと出来ているので、犬がエリザベスカラーを掻いたり、室内で家具や壁にぶつけても問題ありません。
ただ、このタイプは
- エリザベスカラー内部に湿気がこもり易いこと
- 多頭飼いの場合、他犬にぶつかり相手に怪我を負わせてしまうことがある事
- 家具や壁などにぶつかった時、愛犬への衝撃が強い事
などのデメリットがあります。
このタイプを使用する場合は、定期的にエリザベスカラーを取り外し、綺麗に洗ってあげましょう。
また首輪部分にエリザベスカラーがぶつかり、一時的に脱毛や被毛のもつれが生じることもあります。
着用中は首輪を一時的に外す、タオルなどで首元を保護するなど工夫をしてあげましょう。
エリザベスカラーの着用のサイズの目安は、
- カラーの首元に飼い主の指が1本入る程度の余裕を持たせる
- 着用後、前方に引っ張っても、頭から抜けない事
です。
プラスチック製エリザベスカラーには、透明の製品と青色やピンク色などの製品との2種類があります。
透明な製品は長時間の着用を想定し、視界を遮らない為のものです。
一方の色付きの製品は、あえて視界を遮る為に使用します。
色付きの製品は
- 犬の爪切りをする時
- トリミング作業をする時
- 注射をする時
- 他犬への無駄吠えを抑制したい時
などに用います。
視界を遮る事で犬は恐怖心や警戒心を払拭出来るからです。
つまりほんの数分程度の短い時間で取り外す事を前提にしています。
サイズや形状は全く同じ2種類の製品ですが使用用途が異なるので正しく選び使用しましょう。
布、ビニール製やわらかエリザベスカラーの使い方
まるで浮輪のような丸形の柔らかいタイプのエリザベスカラーが最近注目を集めています。
このタイプは柔らかい事、軽い事、見た目がかわいらしいことなどが人気の理由です。
やわらかいタイプのエリザベスカラーは
- 抱き上げる事の多い小型犬
- 多頭飼いで、室内で他犬との衝突事故を予防したい場合
- パグやフレンチブルなど首の短い犬種
などにオススメです。
またこのタイプは、着用したまま横になり寝そべる事が出来るので、長期間着用の必要がある場合にもおすすめです。
布製、ビニール製の場合、丸洗いできる製品が多く、衛生面も安心です。
ただしあまりにも強く足で掻いてしまうと製品が破損することもあるので注意が必要です。
特に飼い主が不在にするとき、サークルに入れ長時間過ごさせる時には注意をしましょう。
アレルギー性のかゆみ、去勢避妊手術直後、皮膚トラブルの治療中など、エリザベスカラーの着用が必須の状態であっても、お散歩には連れ出さなければストレスが溜まってしまいます。
そのような時、布製、ビニール製のかわいらしいエリザベスカラーであれば、周りの目を気にすることなく散歩に出かける事が出来ます。
またこのタイプの製品は老犬の介護用品としても注目を集めています。
犬も高齢になると視力が著しく低下したり、白内障、緑内障を患い日常生活でたびたび家具や壁に衝突をするようになります。この時
- シーズー
- パグ
- チワワ
などの眼球が大きく、突出している犬種は不意の怪我を負うことがあります。
同じ室内で生活をしていても、なかなか飼い主が終日犬の同行を観察し、保護する事は難しいので、首に軽量のエリザベスカラーを付け顔面の衝突事故を予防してあげるのです。
夜寝る時、サークルに居る時など安全が確保されている時はもちろん取り外してあげましょう。
口輪での代用がオススメの場合
怪我や病気の治療中の患部の保護、攻撃的な噛みつきの予防など大抵の場合はエリザベスラーで犬の口元の可動範囲を制限する事が出来るものですが、エリザベスカラーは犬に馴染みのない方からみるととても仰々しく、重篤な病気を患っている、大変凶暴な犬という印象を与えてしまうこともあります。
キャリーバックに入れ移動をさせる時もエリザベスカラーを着用したままでは、キャリーに入る事が出来ません。
もし治療中であっても散歩や外出、人が集まる場所に犬を連れだす必要がある場合は、一時的に口輪で代用をしましょう。
日本では口輪は虐待という印象が強く日常的に使用される機会は少ないものですが、海外では公共の場へ連れ出す時のマナーとして使用されることもあり、さほど抵抗感のある製品ではありません。
もちろん犬にとっても呼吸はもちろん飲み水を飲むにも、吠えるにも支障はありません。
最近では日本での印象を受けアヒルのくちばしの様に見えるコスプレ風な口輪やかわいらしいイラストの製品、マスクの様に見える製品などユニークな製品があるのでぜひ上手に使分けるとよいでしょう。