
皮膚トラブルの治療に動物病院でステロイドを処方される事があります。
ステロイドの使用に関しては人間の薬剤としても賛否両論があり、日本での処方の頻度が諸外国に比べ格段に上回っている事から危険信号を発する情報もあります。
このように特別視されるステロイドについて動物医療における役割を知っておきましょう。
犬にステロイドが処方されるのはどんな時?
人間用処方薬として賛否両論のあるステロイドは動物医療の現場でも処方されている薬です。
もちろん獣医さんの中でもこの薬の使用には様々な意見があり、ステロイドの効果効能を有効に活用しようという方もいれば、危険性を重視し一切使用をしないという方もいます。
動物病院でステロイドが処方されるケースは
- 掻きこわしや噛み傷で患部が可能する恐れがある場合
- 重度のアレルギー症状で耐えがたいほどのかゆみがある場合
- 寝たきりになり床ずれが出来てしまっている場合
などです。
患部の症状をまずは抑える為に速効性と強い効き目のあるステロイドが処方されます。
ステロイドは危険性が注目される反面、速効性があるというメリットもあり、塗り薬を患部に塗るだけで直ぐに症状を軽減する事も出来ます。
傷口の化膿など重度な症状の時はステロイドで患部を殺菌し、二次感染、拡大を防ぐという手段も治療には必要になる事もあります。
どうしてステロイドは問題視されるのか
ステロイドを用いた治療が注目されるようになったのは人間の小児アレルギーが社会問題化されたことがきっかけです。
効き目が強く、速効性がある事から一斉にステロイドの利用が促進されました。
この効果効能を受け動物医療でもステロイドの利用が一気に増え、その名称も大変有名になりました。
でも皮膚トラブルの治療は大抵が長期化するもので、次第にステロイドが原因とされる副作用がある事も明らかになったのです。
ステロイドにおける副作用とは
- 副腎機能の低下
- ステロイドの過剰化
などが挙げられます。このような状態の結果、
- 筋力の低下
- 皮膚の厚みが薄くなる
- 低血糖
- 多飲多尿
が起こる事もあります。
これらの症状はあくまでも可能性のレベルであることも問題視されています。
犬の不調の原因が必ずしもステロイドだけに限定していると特定できない事から、薬剤の利用を禁止するほどの問題性はないとする意見もあります。
つまりステロイドを利用する事でスピーディーにかつ確実に症状を改善するのか、安全性を重視し時間がかかっても影響の少ない薬剤を使用するのかの選択が必要になるのです。
もちろん犬の症状によってこの判断が都度結論を変える事も必要になります。
この点は人間でも同様で、結果的にはいずれを選択するかはそれぞれの医師の判断にゆだねられています。
犬の皮膚トラブルの治療にあたっては、飼い主自身がこのような薬剤が用いられる可能性があるという事をしっかりと認識し、ステロイドの利用を望まない場合はその旨を獣医師に相談する事が大切です。
ステロイドの利用を望まない場合には代替として別の治療法、薬剤の処方を受ける事が出来ます。
犬の為にはまず飼い主がきちんと納得しベストと思える治療法を選択してあげましょう。
治療方法や薬剤に不安がある場合は?
動物医療の中でも特に皮膚に関するトラブルは発症の原因が様々で治療期間も長期に及ぶこともあり、必ずしも100%の正解が見つけられないと言われています。
動物医療の現場では多様化する病状に対して獣医師たちが日々様々な取組みを行っています。
日本では大抵の動物病院が個人開業なこともあり、それぞれの治療法は個々の獣医師独自の取り組みがされています。
犬の治療にあたって不安に感じる事、よりよい治療法を見出したい時はセカンドオピニオンを検討する事も必要です。
セカンドオピニオンには、
- 特定の疾患の専門病院を受診する
- 大学病院を受診する
- 県外の動物病院を受診する
などの方法があります。
それぞれの病状や疾患に対する病院の専門化が進んでいます。
人間同様に内科、外科、歯科、眼科、心臓疾患科、アレルギー科と特定の研究、治療に特化し病院を開業するスタイルです。
このような専門病院には多数の症例が集まるので新たな治療法を見出せる事があります。
またより高度な検査や治療を求めるなら大学病院という選択肢もあります。
大学病院の受診にはかかりつけ医の紹介状があるとスムーズです。
他にも動物病院の大半は同県内の獣医師会に加盟している為、新たな視点での意見や治療を求める為にあえて別県の獣医師会加盟病院に相談をするという方法もあります。
皮膚トラブルの治療は半年、一年、それ以上と長く続く事もありますが、薬剤の使用は長引けば長引くほど犬の体に負担が生じます。
出来る限り早期の改善を目指せるように様々な意見を受け入れていきましょう。