
犬のシャンプーはもちろんカットまで自宅で済ませているという飼い主さんが増える中で、年に数回もしくは特別なタイミングにだけトリミングショップを利用するという方、新しいお店がオープンした事をきっかけに足を運ぶという方もいます。
この時、意外にもお互いの認識にずれがあり完成後の姿にがっかりしてしまうという事もあるようです。
犬を可愛く、綺麗に仕上げてもらうためには、トリマーとの丁寧なコミュニケーションを心掛けましょう。
意外に多い被毛の長さに関する誤解
トリミングショップで意外に多いトラブルやお申し出は被毛の長さに関する内容です。
飼い主さんが考えていた以上に短い、被毛が長すぎる、切るべき箇所でない場所にまでハサミ入れられているなど内容は様々ですが、飼い主さんをがっかりさせてしまう結果になっています。
この誤解の原因はとても単純で、ペットのカットスタイルや生活様式が多用化した事で、トリマーさんとの認識がずれてしまっているからです。
通常、トリミング専門学校ではペットとして一般的に飼われている犬種の標準的なカット方法を学びます。
カットスタイルが教科書に紹介されていて、その見本通りに再現をする事を目指す様、日々練習をかさねます。
このスタイルではシーズーは昔ながらのスタイルに仕上がり、シュナウザーは威厳のある風貌に完成します。
しかし飼い主さんのニーズが多様化するなかで、シーズーの耳の飾り毛を長く伸ばさずに短くバリカンで仕上げて欲しい、シュナウザーをテディベア風にかわいらしく仕上げたいなど要望が多用化しています。
その為、トリマーさんに「お任せで」「かわいらしく仕上げて」と曖昧なオーダーをするとお互いの認識のずれから、異なる結果に結びつくのです。
思い込みによる誤解
より深刻なケースとしては、新しいカットスタイルに挑戦してみたい、生活がしやすいように、毛玉が出来ないように、と考え飾り毛を短くカットしたところその後被毛が伸びない、伸びたものの毛質が変わってしまったなど修復不可能な問題です。
犬の被毛は生え変わるサイクルの長短で種類が別れます。
プードルやヨークシャーテリアの様に生え変わりのサイクルが数年単位と長い犬種は、一旦被毛を切り揃えても一か月で1cmほど伸び続けます。
しかしチワワやダックス、シェルティのように一定の長さで自然と被毛の長さが止まり、短いサイクルで抜け変わる犬種の場合、あるタイミングで切り揃えてしまうとその後生えてくる被毛はそれまでよりも短い長さで止まり生え変わりのサイクルが早まります。
この仕組みはまだ正確には解明されていない上に、兄弟、親子でも必ずしも同じ結果になるとも限りません。
トリマーやペットショップ関係者の間では常識として考えられている内容ですから、飼い主さんからカットのオーダーがあればその内容通りにカットを進めてくれるでしょう。
でも飼い主さんが必ずしもトリマーと同じ認識で、今後被毛が伸びないことを覚悟しているとは限りません。
中にはそのような事を全く考えていないという方もいるでしょう。
この点はお互いに丁寧なコミュニケーションを図り、初めて挑戦するカットである事を事前に伝えることが必要です。
言わなくても気がついてくれるという誤解
実はトリミングショップでは、単に見栄えの問題だけではない問題も生じることが多々あります。
トリミングショップは基本的に健康な状態に犬猫の利用を前提としているので、飼い主さんからお預かりした直後にすぐさま作業を開始します。
その為、
- 皮膚に湿疹がある
- 皮膚の一部がかぶれている
- 頻繁に舐める部位がある
など毎日接している事でしか気がつくことのできない些細な異変を発見することができません。
犬の体にバリカンを掛けている最中に湿疹に気がつく、シャンプーの最中に全身をこすり荒いしながら脱毛部位やただれに気がつくという事も少なくありません。
当然のことながら犬自身もただれや皮膚トラブルに痛みや違和感を感じていることもあり、不意に触れられることで激しく抵抗をする事もあるほどです。
飼い主にとっては些細な異変やプロであれば気がついてくれるだろうという過信が実は大変な事故につながる事もあります。
感染する危険がない、もう間もなく完治する、湿疹ができていても犬が気にする素振りがないという場合でも、皮膚に何等かの異変がある場合は必ず事前にその旨を伝え、お互いが目視でその部位、状態を確認しましょう。
場合によっては、目視で事前確認をする事で、シャンプーを先送りにした方がいい場合や患部周辺の被毛を短く切り揃え塗り薬を付けやすくする、患部を衛生的に保つなどよりよい対策を講じる提案をしてもらえる事もあります。
ぜひお互いのもつ情報を積極的に交換しあいましょう。