
高齢のオス犬に多く発症する尿道結石という病気は、尿道内に小さな石が出来ることで、トイレをするたびに辛い痛みがあり、中にはトイレを我慢してしまい膀胱炎を起こしてしまう事もあるほどに深刻な病気です。
この病気は繰り返し発症する厄介な病気ですが、毎日の食事を見直すことで、症状の改善に効果があります。
犬の尿道結石とは
尿道結石という病気は、主に高齢のオス犬に多くみられる病気で、細い管状の尿道内に結石と呼ばれる結晶が出来、排尿の度にこの結石が尿道を刺激して痛みを伴う病気のことです。
この病気は初期に発見することが出来れば、服薬で結石を粉砕し、尿と一緒に体外へ排泄することで完治できます。
ただ発見が遅れてしまうと、手術によって結石を取り除く必要が生じてしまい、犬の体に負担がかかる上に、医療費も高額になります。
この尿道結石は、腎臓機能とも関係していて、一旦薬や食事で解消をしても、またすぐに再発することがある厄介な病気です。
犬の尿道結石を予防するには
若く健康なうちから、食生活に注意をし塩分、添加物などの摂取を控え、腎臓に負担をかけないことが重要ですが、市販のドッグフードを与える以上、なかなか完全な除去、予防は難しいでしょう。
もちろん遺伝や体質での発症もあり、予防と合わせて早期発見、早期治療を心がけることが大切になります。
治療は服薬、手術、療法食
尿道結石を発症した場合、まずは結石を取り除くこと、その後の予防を継続することの2つを考えます。
この予防策として、一般的な方法は療法食と呼ばれる特別なドッグフードを与える方法です。
尿道結石の予防に活用されているドッグフードの原材料表示を確認すると、「塩」「塩化ナトリウム」という表示があり、驚かれることもあるでしょう。
犬に与える食べ物には味付けは不要とよく耳にするほどですから、ドッグフードに塩そのものを混ぜ込むことはとても違和感があります。
この塩を混ぜる理由は、あえて食事を塩辛くすることで、犬は必然的に喉が渇き、自らたくさんの水を飲むようになるという事です。
たくさん水を飲むことで、たくさんの量のおしっこが出て、もし結石が再発しても早期に尿と一緒に排泄されるよう促すのです。
この仕組み自体は理にかなっていて、犬に飼い主が水を飲むことを強制することが出来ない代わりに、ドッグフードを使い犬自身に水を飲ませる仕組みです。
でも、この仕組みは尿道の結石を早期に排泄するという仕組みには効果がありますが、毎日不要なはずの塩を摂取し続けることで、かえって腎臓、心臓、血管に負荷がかかり、今度は別の病気を発症しかねません。
尿道結石が治っても、次は別の病気の治療が必要になり、気が付けば高齢期はほぼ毎月病院通いという事にもなります。
このような悪循環は、西洋医学を主流とする日本の動物医療の現場では多々あり、なかなか病気の総合的な治療が難しいことが課題となっています。
毎日のご飯を見直す
実は尿道結石の対処法として「手作りごはん」が注目を集めています。
これまで、犬に手作りごはんと聞くと、贅沢、手間がかかると敬遠されていましたが、実はとても安全で手軽で、費用を抑えることも出来ると実はとてもおすすめの方法です。
尿道結石対策に手作りご飯を作るときのポイントは「スープご飯」にすることです。
スープの量は、具材が浸るほどにたっぷりと入れてあげましょう。
ご飯の具材は、肉、魚、白米、パン、うどん、野菜と多種多様で、家族の献立と合わせて工夫をしながら作ると楽しく、気軽に取り組むことが出来ます。
犬は食べ物を食べるときに、舌で掬い上げるように口へ運びます。つまりスープも具材も同時にスプーン(舌)で掬い食べます。
具材だけ、スープだけと分けて食べることが出来ないので、必然的に食事の時の水分摂取量を増やすことが出来ます。
塩入りのドッグフードを与え、自ら食後に喉の渇きを覚え、水を飲むという手順を踏ませなくても、ただ器からご飯を食べるだけで十分な水分を摂取することが出来るのですからとても効率的です。
もちろん手作りのスープご飯に塩を入れる必要は一切ありません。
ドライフードを食べなれている場合、突然水分の多いスープご飯に切り替えると、摂取する水分量が急激に増えることで、一時的に下痢や軟便を起こす場合もありますが、数日で体調が安定し下痢も治まるので心配ご無用です。
この方法であれば犬の腎臓や心臓、血管に余計な負担をかけることなく、結石の排泄を促すことが出来、結石の再発予防にも効果があります。
また摂取する水分量が増えると新陳代謝も向上し、皮膚、被毛の状態の改善にも効果が期待できます。ぜひ気軽に手作りごはんを始めてみませんか。