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犬を飼う上での飼い主の義務と言えば狂犬病の予防接種です。
これは法律で定められた義務で、違反した場合の罰則も定められています。
日本では数十年以上、狂犬病の発症がない事から年々接種率が低下していますが、狂犬病の予防注射について正しく理解し、法律順守を心がけましょう。
狂犬病予防接種の接種率低下の現状
ペットショップやブリーダーから子犬を購入したり、動物保護団体から里親として引き取ったり、知人から譲渡されたりと様々な形で犬の飼育を始めるとき、自治体へ飼育開始の届出を行う義務があることがあまり周知されていません。
実は全国の自治体でこのような義務があり、決して無断で飼育をしてはいけないという決まりがあります。
この届け出を行うことで自治体は飼育頭数を把握し、狂犬病予防注射の手配を行い、災害時にはペット同伴避難に関する取り組みを行います。
しかし近年自治体への届け出を行わないケースが多く、自治体が正確な飼育状況を把握できないという問題が生じています。
届け出を行わない理由の多くは、その必要性を知らなかったというものですが、中には狂犬病予防注射の摂取が不要と考えてしまう方も増えています。
国内では数十年以上も狂犬病の発症報告がありません。
中には完全に根絶されたという情報もあるほどです。しかし国内では発症がない病気でも世界でみた場合まだまだ相当数の発症が報告されています。
発症事例のある国の中には日本人観光客が多く訪れる地域もあり、いつ何等かの方法で国内にウイルスが持ち込まれ、蔓延をするかという危険をはらんでいます。
この病気は治療法が無く致死率は100%です。もちろん犬だけでなく人間にも感染し同じ結果をもたらします。
そのため発症報告がされてから対策を講じるのではなく、あらかじめ予防を講じておくことが大切です。
鑑札が迷子札の役目を果たしてくれることもある
狂犬病の予防注射を摂取すると摂取済の証明書と合わせて鑑札と呼ばれるプレートが交付されます。
この鑑札には、
- 自治体名
- 登録番号
- 摂取年度
が記載されています。
この鑑札は狂犬病予防注射が完了した証明として交付され、原則的には常に首輪やハーネスなど目に付く場所に着用することが義務づけられています。
日本で狂犬病のリスクが高かったころは、この鑑札を着用していることで安全の証明とされていました。
しかし当時の日本では中型、大型犬種が主流で鑑札の着用も特に支障がなかったものの、最近は小型犬が主流になり3cmほどのサイズがある鑑札を邪魔だと感じることも増えてしまっています。
ただ愛犬がもし迷子になり保健所に収容された時などは、この鑑札があることで飼い主に連絡をすることが出来るというメリットがあります。
狂犬病の予防注射を摂取する際は自治体に飼い主の個人情報が登録されます。
この登録番号を照会することで保健所や自治体が飼い主へたどり着くことが出来ます。
つまり大きくて邪魔だと感じていた鑑札が愛犬の命綱になってくれることがあるのです。
ユニークな鑑札で摂取や着用を促進する取り組みも
法的な義務も鑑札が果たしてくれる役割も理解はできるものの、体重わずか1,2㎏の小型犬に3cmものサイズがある鑑札を常に着用させることに抵抗を感じる方もいるでしょう。
そのような声を受け全国の自治体では独自の取り組みを行い、狂犬病予防接種率の引き上げや鑑札の着用促進を行っています。
その取り組みの一例をご紹介します。
① 兵庫県尼崎市の忍たま乱太郎の鑑札
2018年度より兵庫県尼崎市では地元出身でアニメ「忍たま乱太郎」の原作者、尼子騒兵衛さんがデザインした犬鑑札を導入しました。
茶色のまだら模様が特徴の犬をあしらった犬鑑札と注射済票を導入し今後の接種率向上を目指しています。
兵庫県では他にも姫路市が市のキャラクター「しろまるひめ」、神戸市が船員風の犬のキャラクターをあしらった犬鑑札をそれぞれ導入して話題になっています。
② 東京都世田谷区の深澤直人デザインの鑑札
世田谷区では日本を代表するプロダクトデザイナーである深澤直人さんにデザインを依頼し、これまでより小型でスタイリッシュなドッグタグ式鑑札を導入しています。
シンプルでありながら細部にこだわり、都会的なスタイリッシュさも兼ね備えていると好評です。
以前は全国で統一デザインだった鑑札ですが、法改正により所定の要件を満たせばオリジナルデザインに変更することが可能になり、今では全国に大変ユニークで小型犬でも装着しやすいサイズの鑑札が続々と誕生しています。
ぜひこの機会に愛犬の狂犬病予防接種と鑑札について考えてあげましょう。
飼い主の義務を守ることを考えてみましょう
愛犬との生活ではつい不便さや不具合が気になり、独自のルールで改善をしてしまいたくなるものです。
しかし犬を飼う上で決められたルールがある以上、これらのルールは全ての飼い主が守らなければなりません。
ぜひもう一度愛犬とのルールや義務について考えてみましょう。