

おもちゃと距離をとる犬
犬は人間の数千倍もの嗅覚をもっていると言われていますが常生活でその優れた機能を実感する機会はほぼありません。
でも実感していないのはあくまでも人間の側だけだと考えたことはありますか?
犬は飼い主の些細な変化もその優れた嗅覚で察知し、飼い主の行動を敏感に観察しています。
愛犬のお悩み解消には実は飼い主の気の持ちようも大事という事を知っておいてあげましょう。
犬は飼い主の負の感情を即座に察知しています

キャリーバックに入る小型犬
犬は飼い主の感情に大変敏感です。
特に飼い主が悲しい時、不安や緊張を感じている時、そっと傍に座り、寄り添ってくれることもあります。
この行動は犬が持つ飼い主への共感性が理由とされていますが、実はこの行動にも犬の優れた嗅覚が関係しています。
人間は不安や緊張を感じると汗腺からアポクリン酸が発生します。
アポクリン酸とは人間の汗に含まれる成分の1つです。
頭や脇、手のひらなどから発せられます。このアポクリン酸には特殊な臭いがあり、犬はこの特殊な臭いを優れた嗅覚で察知し、飼い主の心理的な変化を感じ取ります。
例えば、
- 散歩中に他犬に遭遇した時
- 交通量の多い場所を通る時
- 犬を怖がる子供に遭遇した時
- 愛犬が激しく吠えたてた時
など飼い主は無意識であっても平静の時とは違う量のアポクリン酸が分泌されています。
その結果、犬は何か問題が起きた!
飼い主が異常や恐怖を感じている!
と理解します。
犬が飼い主に共感をするのは、このような優れた嗅覚も関係しているのです。
群れ意識、防衛本能が愛犬にプレッシャーを与えています
愛犬が他犬にいつも吠えてしまう、散歩中は引張癖が強くコントロールが不安、他人に飛びついてしまわないかと不安・・・という事はありませんか?
問題行動の理由は社会化不足が原因という事は解明されていますが、この問題をさらに悪化させているのは飼い主自身の心理状態です。
飼い主は、
- 散歩に出るのが不安
- 散歩中に過度に力が入ってしまう
- 他犬に遭遇してしまわないかと気を遣う
という場合、愛犬は飼い主の普段と違う状態を察知し、防衛本能が強く働きます。
飼い主が不安や緊張を感じているという事は散歩中は警戒心を常に持っていなければと感じるのです。
たとえ体の小さな小型犬でも、神経質で臆病な性格でも、内弁慶な性格でも犬は全力で飼い主を守ろうと心がけているのです。
その結果、不意に他犬に遭遇をすればますます飼い主の異変を察知し、激しく吠えたて、飼い主を守り、相手を遠ざけようとします。
この悪循環が解消されない限り、どんなに散歩中に無駄吠え解消のトレーニングを続けても目覚ましい効果は期待できません。
同じ状況は玄関チャイムに吠えたてる犬にも共通してみられます。
- 宅配便業者にだけ激しく吠える
- 玄関チャイムに無条件に吠える
という問題行動がある場合でも、飼い主の友人や知人にはまるで吠えない、来訪を喜び尻尾を振るという場合です。
この時も飼い主は無意識ながらも荷物の受け渡しの時に軽度の緊張を感じ、アポクリン酸が発せられているのです。
飼い主の友人、知人であればこのような無意識な緊張や不安を伴わないので、犬もおおらかに受け入れることが出来ます。
犬は飼い主の些細な変化を察知し、全力で守ろうと努めているのです。
もちろん犬の心理を理解できたからといって、無駄吠えは褒めることの出来る行動ではありませんから、根気強いしつけ練習が必要です。
飼い主がおおらかで、安心していることは犬も察知できます
散歩中に無駄吠えをしてしまう、強く引っ張ってしまうなどの問題がある場合は、まず飼い主自身が精神的な余裕を持つよう心掛けることが必要です。
- 激しく吠えてしまうかも
- 飛びついてしまうかも
- 横道にそれ、遭遇を回避しようか
と様々なことを思い巡らせていると、ますます犬は追い詰められてしまいます。
飼い主から発せられるいつもと違う臭いを敏感に察知し、身構える様になります。
犬は一旦嗅いだ臭いは生涯忘れないよう脳にインプットされると言われています。
飼い主が他犬に遭遇するたびに発するわずかな臭いも犬は記憶し、次にまた同じ臭いを感知した時に条件反射的に攻撃的な行動をとってしまうのです。
もし愛犬の問題行動でお悩みの場合は散歩中に他犬を見かけてたり、遭遇をしても、
- うちの愛犬は大丈夫
- 吠えずにすれ違う事が出来る
- 吠えても気にしない
というようにおおらかに余裕をもって過ごしてみましょう。
愛犬と繰り返し練習した無駄吠え防止の対策を思い浮かべるのです。
犬は飼い主のいつものままの様子を察知し、他犬と遭遇は極当たり前のことであり、何ら危険もなく、警戒の必要もない事を理解できます。