
動物保護団体の里親募集情報に目を通しているときに、野犬という言葉を耳にしたことはありますか?
最近ほとんど見かけることの無くなったいわゆる野良犬のことです。
郊外の地域では山に住み着き、自活した生活をしていることもあります。
かわいい!引き取りたい!と思った犬がもし野犬だったらどのようなことが起こる?室内で飼える?しっかりと考えてみましょう。
野犬の子犬を保護しました!この言葉の意味は?
里親制度が国内で徐々に注目を集め多くの犬猫の命が善意でつながれています。
次は我が家も!と決心を決めた時、動物保護団体の情報欄に「子犬」という言葉を見つけるとつい目が止まります。
里親を募集する犬の多くは成犬で、ごくまれに掲載される子犬の情報は大変人気です。
ただ「野犬」という前置きが付いた時、引き取ることに不安を感じるものでしょう。
野犬とはいわゆる野良犬や野山で自活生活をおくる犬のことです。
郊外ではまだまだ野犬の生息数は多くみられます。
ただ多くの野犬は人間とは一定の距離を保ち生活をすることから、日ごろ目にする機会はほぼありません。
この野犬が春や秋の繁殖期を迎えると野山で出産をします。
出産後一月ほどは親犬の監視下で生活をしますが、成長と共に行動範囲が広がり始めると、周囲の人間の目に留まる機会が出来、その存在が知られます。
ただ現在の日本では自然環境も変わり、野犬が安全に生き続けることはほぼ不可能です。
そのため一部の動物保護団体や地域の保険所が野犬の子犬を保護し新たな飼い主を探す活動を行っています。
この時、理解しておくべきことは、
- 成長後のサイズが断定できない
- 先天性疾患や伝染病、寄生虫のリスクが高い
- 人間との触れ合いや共同生活の経験がない
犬を親にもっているということです。
つまり子犬もこの点をそのまま受け継いでいるので、いわゆるペットショップで売買されている子犬とは異なる特質をもっているという事です。
ただ親犬が野犬だからといって、子犬が必ずしも人間に馴染まないという事ではありません。
里親として生活をする中で必ずお互いにとってのベストな関係性を築くことが出来、かけがえのない存在になってくれるはずです。
野犬はマンションで飼える?しつけが出来る?
すでに子犬期を過ぎている野犬を里親として引き取る場合、保護されてから現在までの経緯や生活スタイルをしっかりと確認しましょう。
元野犬という経歴を持つ犬の多くはトイレシーツを使用し室内でトイレを済ませる習慣を身に着けることを嫌がります。
この場合日々のトイレは朝夕の散歩が必須となります。
もちろん散歩も気分転換程度の短時間の軽い運動ではなく、十分な時間と内容をこなしてこそ意味を成します。
この散歩の時間を家族が無理なく割けるかもしっかりと検討しなければなりません。
元野犬の場合、身体能力は大変高く、瞬発力も想像以上です。
不意のタイミングで強く引っ張ることもあります。散歩は子供だけで連れ出すことは危険で必ず大人の同行が必須です。
またマンションで飼育することにも様々な意見がありますが、この場合、
- 十分な運動時間を割くことが出来る
- 遠吠えなどの習性がない
- エレベーターなど規定がある場合、抱きあげ移動することが出来る
- 他犬に過度な攻撃性を見せない
という点を確認しましょう。
マンションで飼育をする場合でも運動量の問題は解消することが出来ます。
しかし他犬とのすれ違いや遭遇は完全に回避することが出来ず、至近距離ですれ違うこともあります。
そのため引き取り前にこのような傾向の有無について確認をしましょう。
保護団体によっては数週間のトライアル期間を設けている場合もあるので不安がある場合はトライアル期間を上手に活用しましょう。
野犬との生活で多発している脱走トラブル
実は野犬を家族に迎えた方の中には脱走トラブルに直面してしまうケースも多くみられます。
元野犬の経歴を持つ犬は同じサイズの室内犬に比べ段違いな身体能力をもっています。
中型犬であれば飼い主の背丈ほどの塀を軽々と飛び越えることもあります。
庭のフェンスの下を掘り、隙間をくぐり脱走をするという想定を超える手段で脱走を図ることもあります。
一旦脱走してしまった野犬はこれまで異常に警戒心を増していて、再度保護することは不可能に近くなります。
野犬を家族に迎える場合は並外れた身体能力に油断することなく安全策を講じてあげましょう。
一時的にも係留をする場合は繊維製リードではなく軽量ワイヤー製リードなどを用いると安心です。
無理をしないことも里親制度には大事
犬の里親になることが社会的にも高く評価され注目を浴びる中で、ペットショップやブリーダーから子犬を購入することに罪悪感を抱く方が増えています。
しかし必ずしもこの行為が批判されるもおのではありません。
里親として引き取ることに不安を感じる場合は購入という選択肢もぜひ残しておきましょう。
犬との生活は家族に迎えてから10年以上も長く続くものです。決して無理をしないことも大切なことです。