
日本でもここ数年でペットを里親という方法で家族に迎えるという方が増えています。
何等かの理由で新しい家族を探している犬達は受け入れ当初は戸惑いを見せることもあるものの次第に家族にとってかけがえないのない存在になってくれます。
一方で、お互いの誤解、情報不足からトラブルに発展してしまうケースも増えています。
中でも皮膚に関する症状は見た目問題もあり深刻化しがちです。
引き取る前に受診歴・病名の確認を
里親、保護犬を家族として引き取る場合、たいていの犬は飼育放棄、栄養不足、不衛生な生活環境から何らかのトラブルを抱えています。
皮膚、被毛に明らかな異常を抱えているケースも少なくありません。
もちろん家族として迎える以上はこれらのケアの含めてという前提がありますが、まずは引き取りを決断する前に確認すべき項目があります。
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- 病状に関して動物病院を受診しているか
- 病名が確定しているか
- 伝染性がないか
- 今後どのようなケアが必要になるか
保護団体、個人活動家の中には予算や人手の面から動物病院の受診に手が回らない、現状のまま自己判断での譲渡とするケースもありますが、万が一伝染性のある疾患であれば、引き取り後は隔離生活が必須となります。
高齢者や乳幼児のいる家庭では感染を防ぐ処置も必要になります。
どのような症状であれ現状を把握し、お互いが納得の上で引き取り、家族に迎えることが大切です。
動物病院での診察、検査は数千円で済むこともあるので、できれば事前に受診をしてから判断をしましょう。
今後の治療費用の概算を検討する
皮膚に関する治療には長期間の通院、服薬、薬浴、患部のケアなどが必要になります。
まずは病名を把握したうえで、おおよその治療期間、予算を確認しましょう。
もちろん症状の進行具合も関係しますが、おおよその目途を立てることが大切です。
例えば毎日薬浴が必要な場合、自宅で十分な時間を確保することができるのか、動物病院を利用した場合どの程度の費用がかかるのかを検討しましょう。
タオルなどの洗濯の手間もかかりますし、ブラシや消耗品の購入も必要です。
保護犬を迎えるということは犬を思う気持ちとともに経済的、物理的な覚悟も必要になるということです。
多くの場合、新しい環境で安心して生活ができ、栄養面、環境面で生活の立て直しが進むと、想像以上の回復を見せるものです。
中には保護団体、獣医師が気が付かないほどに以前の姿から代わり映えし、きれいな皮膚と豊富な被毛に包まれた姿に変身することも少なくありません。
この点は医学的な予測が不可能な領域で、保護犬の奇跡ともいえるでしょう。
保険加入が難しいことを覚悟して
近年、ペット保険も多くの保険会社から販売されるようになり、サービス内容も多様化しています。
正確な生年月日、病歴がわからない保護犬の場合でも一定の条件を満たすことで加入が可能なサービスもあります。
しかしあくまでもこれらの保険は今後の病気に関する備えです。現状で発症している症状に関しては補償対象外となるので、医療費の負担は承知しておく必要があります。
まずは規則正しい生活と良質な食事
被毛が抜け落ち、皮膚が荒れ変色している場合、ついサプリメントや動物病院での薬の処方をと考えてしまいがちですが、まずは家族に迎えたばかりの保護犬をゆっくりと新しい環境になじませ、リラックスさせてあげることを優先してあげましょう。
どんなに良質なケアと医療も保護犬にとっては警戒と緊張の対象になるからです。
家族に迎えてから当面の間は、
- 生活のリズムを理解させること
- 日々食事に困らないことを理解させること
- 新しい生活には危険がないこと
を覚えさせましょう。そのうえで良質な食事と適度な運動をつづけ、心身ともに前向きになることを目指します。
このような生活を数か月継続したうえで、さらに完治しない症状や不調に関して踏み込んだ治療を検討しましょう。
ただし、引き取った時点で出血やかゆみなど取り急ぎの対処が必要な症状がある場合はできる限りストレスを与えない方法で通院、ケアを行うことも必要です。
その子らしさを受け入れるつもりで
公園やドッグランでの会話に「この子は元保護犬なんです」という驚きのカミングアウトを耳にすることが増えてきています。
まるで以前の姿を想像できないほどにしっかりとしつけがされ、健康そうな犬の姿は家族からのやさしさがにじみ出ています。
保護犬を家族に迎えるということは、決して難しいことではありません。ただお互いがスムーズに新しい生活を始めることができるようにするためにも、引き取り前に十分な確認、情報収集を済ませておくことが切です。