
寒い季節になると犬の鼻の色味がピンク色になってしまい驚いたことはありませんか?
実は犬の鼻は体の中で唯一被毛で保護されていない部位で、とても寒さに敏感です。
そのため、中には寒い季節になると自然と鼻の色が体色してしまう事があります。
病気ではなく体質
主にレトリバー種に多くみられる寒い時期特有の変化に鼻の色は茶色がかったピンク色の変色してしまう事があります。
レトリバー種以外でもプードルなど小型犬にみられることもある変化で、痛みや体調の変化はまるで伴わずに鼻の色だけが退色します。
変化は急激に起こるわけではなく、ゆっくりと退色が進むので、初期の段階では気が付かずに、写真などで見比べて初めて気が付くという事もあるほどです。
この寒い時期特有の変化を「ストロベリーノーズ」と呼びます。
いちごの様な色に変化すること、愛嬌があるからと海外ではこのように呼ばれていますが、日本では古くは「豚鼻」と揶揄されていました。
日本ではひと昔前まで犬は屋外に係留して生活をさせる事が一般的だったので、寒い季節に寒さで鼻が変色する様子を情けないといわれたからです。
このストロベリーノーズには様々な研究がされてきたものの、特別な病原体は発見されない上に、変色する仕組みもまだ明確には解明されていません。
必ずしも遺伝するものではなく、暖かい部屋の中で生活をしている犬にもみられることがあります。
毎年繰り返すこともあれば、一度きりで終わることもあり、なんとも不思議な変化です。
薬剤は不要ですが寒さ対策は念入りに
犬の鼻が寒い季節に退色してしまった場合、基本的には特段の治療やサプリメントの服用などは必要ありません。
季節が春に向かうにつれて次第に退色は元に戻り、春には完全に元の黒い鼻に戻るでしょう。
ただストロベリーノーズが起こる原因は、寒さに関係していることは明確だとされているので、犬の生活環境を見直してあげる必要はあるでしょう。
エアコンを利用し、室内が十分に暖かいと感じる日でも、犬が生活をする人間のひざ下の高さは実は冷たい空気が充満しています。
犬は家族より数度も低い温度を感じているのです。
室内の温度設定が適切かどうかの判断は、なかなか難しいものですが、そのような時は、犬の寝姿で判断をしてあげるとよいでしょう。
- 犬があおむけになって寝ている、足を投げ出して寝ている
(室内が必要以上に暑いというサインです。床暖部やヒーターの設定温度を下げてあげましょう。) - 犬が丸くなり、体の内側に鼻先をうずめるように寝ている
(室内の気温が低すぎるサインです。床、足元付近の暖房を改善してあげましょう。)
犬の鼻は被毛で保護されていないので、外気の影響を直接受け、寒いさが厳しい日はとてもつらい思いをしています。
犬が体の内側に鼻先をうずめるという行為は、自身の体温で鼻先を保護し、体温の放熱をできる限り抑えるためです。
犬がこのような姿勢で眠っている場合、特に高齢犬の場合は風邪をひかないようにケアをしてあげましょう。
暖かくなっても回復しない場合は病気のサインかも
犬のストロベリーノーズはあくまでも一過性の退色であり、暖かい季節、環境になると自然と元の色に戻ります。しかしこの退色が
- 夏や暖かい季節に突然起こる
- 鼻の一部分だけが完全に色素を失ってしまっている
- 食欲不振や下痢など体調不良を併発している
場合は、単なるストロベリーノーズではなく、皮膚癌や皮膚疾患のサインの可能性があります。
気になる変化が現れた時は動物病院を受診し、組織検査を受けておくと安心です。
鼻は被毛に保護されていないでの、体調不良が現れた時にすぐに異変を発見しやすい部位です。
鼻に異変が現れたという事は、体の別の部位ですでに病気が進行している可能性もあるという事を念頭に置き、早期に対処法を考えてあげましょう。
ストロベリーノーズは、近年室内で犬が生活をすることが当たり前になり、あまり見かけなくなりつつあります。
以前は、がっしりとした体形で強面の日本犬の鼻が冬にだけピンク色になってしまうというミスマッチがとても愛嬌があったものです。
もし愛犬がストロベリーノーズになった時は、あくまでも一過性のものだと考え、記念写真でも残してあげるのもよいでしょう。